OpenAIが日本で始動、日本法人社長に就いた長崎忠雄氏の思いとは
今回は「OpenAIが日本で始動、日本法人社長に就いた長崎忠雄氏の思いとは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、OpenAI Japan 代表執行役員社長の長崎忠雄氏と、ServiceNow Japan 常務執行役員 COOの原智宏氏の「明言」を紹介する。
米OpenAIは先頃、アジアで初となる事業拠点を東京に開設したことを発表した。3月12日に日本法人の社長に就任した長崎氏の冒頭の発言は、その発表会見において抱負を述べた中で意気込みを示したものである。
会見には、米OpenAIから最高執行責任者(COO)のBrad Lightcap(ブラッド・ライトキャップ)氏が登壇して同社の事業内容や日本での今後の活動について説明。同社の顔である最高経営責任者(CEO)のSam Altman(サム・アルトマン)氏もビデオメッセージを寄せた。会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは会見での長崎氏の発言に注目したい。
前職でアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の社長を12年にわたって務めてきた長崎氏については、AWSジャパンが2月14日に、3月11日付で社長を退任することを発表。4月上旬にOpenAIが日本法人を立ち上げて東京に事業拠点を開設することを明らかにした際、日本法人のトップに同氏が就任したとの情報も複数メディアで流れた。
今回、OpenAI Japanの社長として初めて会見に臨んだ長崎氏は、「まず、アジア初の事業拠点を東京に設け、この会見をもって新たな一歩を踏み出せたことを大変うれしく思うと同時に、責任ある役割を担うことに対して非常に身が引き締まる思いだ」と述べ、自らの心境について次のように話した。
「私はこれまでテクノロジー分野に25年以上携わってきたが、とくに新しいテクノロジーが出てきた際に、それを日本でどのように活用し浸透させていけばよいかということを、さまざまなお客さまと対話を重ねながら懸命に取り組んできた。その積み重ねで今の私がある。AIはまさしく新しいテクノロジーで、AIがもたらすインパクトは今始まったばかりだ。とりわけ、注目を集めている生成AIは多くの皆さんがお使いになって、これからどう使えばよいかを模索されている。既に多くの皆さんが感じているように、生成AIは大変な可能性があるテクノロジーだ。これに対して、これまでの私の経験を生かしていくことで、日本の社会に貢献できるのではないかと考え、今回のミッションを遂行することにした」
冒頭の発言はこのコメントから抜粋したものである。また、同氏は生成AIについて次のようにも述べた。
「生成AIを初めて知った時、クラウドコンピューティングあるいはインターネットとの出会いの時と同じように感じた。生成AIはクラウドやインターネットと同様、これからわれわれの仕事や生活を大きく変えていく可能性がある。だが、具体的にどうしていけばよいのか、どううまく使えるようにするかについて、これからもっと議論していかなければならない。OpenAIはまさしくAIネイティブカンパニーで、これからも生成AIに情熱を燃やしていく。それを日本でしっかりリードしていきたい」
以上、長崎氏の発言のエッセンスを筆者なりにまとめてみた。
最後に、気になった点を述べておくと、OpenAIのテクノロジーについてはビジネス面でMicrosoftが相当担いでいる印象があるが、OpenAI Japanは日本マイクロソフトと今後ビジネス展開で競合するケースが多々出てくるのではないか。これについては「協調関係を維持する」としているが、果たしてどうなるか。もっともそんなことは意に介さず、OpenAIはもっと先を見据えているのかもしれない。