オープンソース特許コンソーシアムのOIN、特許保護対象をさらに拡大

今回は「オープンソース特許コンソーシアムのOIN、特許保護対象をさらに拡大」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 「Linux」やオープンソースのソフトウェア(OSS)は今や、以前のように絶えず知的財産(IP)をめぐる攻撃にさらされているわけではない。それでも、特許コンソーシアムのOpen Invention Network(OIN)は、自らの保護対象となる特許に関する警戒を緩めてはいない。そして今回、最大の特許防衛コミュニティーであるOINは、自らの「Linux System Definition」を改訂して、再び保護の範囲を拡大した。

 Linux System Definitionの保護の対象はLinuxのみにとどまらず、隣接するオープンソース技術も保護している。過去には、「Android」「Kubernetes」「OpenStack」にも保護範囲が拡大された。OINは、メンバー間で共有される防御用パテントプールの提供によって、この保護を実現している。このパテントプールは、3900を超えるコミュニティーメンバーから提供された300万件超の特許で構成される。OINのメンバーには、AmazonやGoogle、Microsoft、そしてLinuxベースの企業ほぼすべてが含まれる。

 今回の最新の改訂により、OINによる既存の特許リスク緩和の取り組みは、クラウドネイティブなコンピューティングやエンタープライズソフトウェアにまで拡大される。クラウドコンピューティングの分野では、OINは「Istio」「Falco」「Argo」「Grafana」「Spire」といったプロジェクトの特許保護を追加した。エンタープライズソフトウェアについては、「Apache Atlas」「Apache Solr」のようなパッケージが、今や保護対象となっている。この2つのソフトはいずれも大規模なデータを扱い、前者がデータ管理に、後者が検索に利用されている。

 今回のLinux System Definitionの改訂により、モノのインターネット(IoT)やネットワーキング、自動車技術の特許保護も強化される。「OpenThread」ならびに「agl-compositor」「kuksa.val」のようなパッケージがLinux System Definitionに追加された。

 組み込みシステムの分野では、OINは、家庭用IoTの標準である「OpenAMP」「Matter」を追加して、「OpenEmbedded」をはじめとする技術の保護範囲を補完した。OINは、「Edalize」「cocotb」「Amaranth」「Migen」といったオープンソースのハードウェア開発ツールも対象に含めた。これは、「Verilator」「FuseSoc」のような既存のハードウェア設計ツールから、保護対象をさらに拡大した形だ。

 OINの最高経営責任者(CEO)を務めるKeith Bergelt氏は、今回の改訂の重要性を強調し、「Linuxなどのオープンソースソフトウェアプロジェクトは、ますます多くの業界で使われ、イノベーションのペースを加速し続けている。OINのLinux System Definitionの定期的な拡大により、OINはOSSの成長のペースに対応できる仕組みとなっている」と述べた。

 Bergelt氏は、今回の改訂について、安定性を保ちつつ、革新的なオープンソースの中核技術をLinux System Definitionに組み込み、慎重にバランスを保つという、OINの確立されたプロセスを反映していると説明した。最新の追加は、合意を重視するOINの改訂プロセスに従って行われている。

 「OINはまた、特許保護をもっと身近なものにしようと努めている」とBergelt氏は付け加えた。「保護対象や対象となっている理由、関連性があるものやプロジェクト、開発者や一般人、法律家にとっての意味といった点について、人々により理解してもらえるよう取り組んでいる」

 さらにこの先については、Bergelt氏は次のように述べた。「我々は人工知能(AI)を対象としないという、意図的な決定を行った。AIは非常に流動的だ。重要な使われ方や導入レベルに達するのがどのAIプログラムなのかを確認できるまで待つことにした」。OINは常にこのやり方を貫いてきた。同コンソーシアムでは、長期的に存在するであろうプロジェクトに確実に保護を拡大するために、時間をかける方針をとっている。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
スペクティ、「函館災害情報」と連携–函館市内および北海道での災害情報の配信を強化
IT関連
2022-11-22 10:32
鹿児島銀行、ハイブリッドクラウドで新勘定系システムを本番稼働
IT関連
2024-09-19 15:44
HashiCorp、「Terraform Enterprise」デプロイオプションに「Nomad」「OpenShift」追加
IT関連
2024-09-01 05:12
ASUS、スタイラス付きで1キロ以下のChromebook「Detachable CM3」の動画公開
製品動向
2021-03-10 08:59
子どもに仮想環境下での英語没入体験を提供する語学学習Novakidが38.2億円調達
EdTech
2021-08-04 04:58
レシピから食事プランを作成、食材を自動的に買い物かごに入れてくれるLollipop AIのオンライン食料品マーケットプレイス
ネットサービス
2021-07-01 12:54
Rocket LabのベックCEOがより大きなロケットが必要な理由と株式公開の理由を語る
宇宙
2021-03-24 03:46
次なる成長の弾は何か?–デルの幹部は何と答えたか
IT関連
2023-03-18 21:31
IOC注目「バーチャルスポーツ」……有馬温泉で仮想ロードレースも
IT関連
2021-02-23 08:16
国会クラスター「Zoom」で回避案浮上! 識者「コロナ収束までに限定で試みてもいい」
IT関連
2021-02-04 16:47
「Go」プログラミング言語が「Apple M1」チップをネイティブサポート
IT関連
2021-02-19 12:21
米国が1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチン緊急承認、通常の冷蔵庫で保管可能
バイオテック
2021-03-02 00:07
CISOに「自分だって人間だ」と思い出させる必要性–ウィズセキュアCISOに聞く心の問題
IT関連
2024-06-19 11:08
インテル、第13世代「Core」発表–性能が最大41%向上
IT関連
2022-09-29 22:18