デジタル時代における意思決定の新しいルール
今回は「デジタル時代における意思決定の新しいルール」についてご紹介します。
関連ワード (ビッグデータ、新しい「水」としてのデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
デジタル時代においては、「時間」が決定的な役割を果たします。企業は最短かつ最善の意思決定を下す必要があり、そのためには簡単に拡張でき、リスクを顧みながら、メンバー間の連携が取れる、統制の効いた環境が求められます。過去の状況ではなく、現在の状況に基づいて判断を下さなければなりません。
デジタル変革(DX)に求められる俊敏性(アジリティー)と復元力(レジリエンス)を提供する上で、データとアナリティクスによる迅速なイノベーションサイクルの実現が必要不可欠です。しかし、そのためにどのように意思決定のルールを変化させるべきでしょうか。さまざまなテクノロジーが混在する場合、適切な意思決定プロセスを持つことはこれまで以上に重要となり、判断をいかに補助するか、あるいは自動化するかといった要件も十分に考慮する必要があります。今回は、その理由を見ていきましょう。
これまで、ビジネス上の意思決定は、戦略的判断、戦術的判断、運用的判断に分類されてきました。デジタルビジネスにおいてもこの分類は変わりませんが、それぞれの特徴と境界線が曖昧になっていると考えられます。
戦略的判断とはビジネスの全体または大部分に影響する大きな選択で、組織の原則、目的、優先順位を設定します。
デジタル時代の戦略的判断では、これまで運用的判断に使われていたリアルタイムなインサイトが求められるようになります。リアルタイムな意思決定において、運用的判断が戦略的判断に引き上げられつつあります。なぜでしょうか。それは、文脈に合わせて情報を提供し、ほぼリアルタイムにデータを統合する必要があるためです。この変化の良い例として2社を紹介します。
1社目は、Forbidden Planetが経営幹部の議論にデータを反映させた事例です。同社の経営陣は、Qlikのプラットフォームを活用することで、書類の束やスプレッドシートを見ながら会議を行うのではなく、最も重要なビジネス指標やデータセットを15分以内に把握し、評価できるようになりました。これにより、より多くの時間を、過去ではなく、未来に目を向けるために充てられます。リーダーは、重要なことに集中し、いざというときに「チャンスを逃さないように素早く行動する」ことができます。
2社目は、モーションコントロール技術で世界をリードするナブテスコです。同社は、迅速な意思決定を行えるようにカンパニー制を導入し、データ収集もカンパニーごとに行っていますが、経営資源としての活用には限界がありました。データ主導型の仕組みに近づけるためにデータ統合を開始したことで、表計算ソフトなどでこれまで何日もかかっていた集計作業が実質ゼロになり、正確なデータ分析により、今まで可視化できていなかった事実の把握が可能になるなど、さまざまな成果が上がっています。
戦術的判断は戦略的判断を実行する際に必要になるもので、繰り返されることが前提であり、プロセスとポリシーが関係します。
戦術的判断には、一層の統制と連携、拡張が求められています。戦術的判断を担当するマネージャーは、より多くのデータとその複雑さに対処することになります。最終的な判断は人間が下しますが、管理されたデータファブリック(アナリティクスのためのデータ群)にアクセスし、拡張アナリティクスソリューションを使用する必要があります。拡張アナリティクスソリューションは、過去に何が起きたかを明らかにする記述的アナリティクスとその原因を探る診断的アナリティクスを可能にし、判断を助ける複数の選択肢を提供します。
このようなソリューションは同時に、メンバー間の相乗効果や知識共有、コラボレーションを促し、常識を考慮した意思決定を支援するものでなくてはなりません。Enolyticsはワインのビジネスでより良い意思決定を下すために、協調的なデータエコシステムを構築しました。ロマンあふれるワイン業界とデータを結びつけることは、生産者にとって最初は自然なことではなかったかもしれませんが、データによって強化された知識は、ワイン業界と消費者の距離を近づけ、消費者がワインをより身近に感じることができるようになったのです。
運用的判断は企業や組織の日常業務に関連し、絶えず反復されるため判断のサイクルは短めです。
デジタル化に伴い、日々の業務を処理するためにビジネスアプリケーションを導入する企業が増えています。現在では、特定のタスクに必要な最善のSaaSアプリケーションを個々の部門で選択し簡単に導入できます。重要な点は、ビジネスアプリケーション間で情報を柔軟に交換できるようにし、運用的判断が個々のサイロで行われることを防ぎ、煩雑な反復作業を自動化することです。これにより、2つの異なるアプリケーションの間でデータを手動で頻繁に移動させずに済みます。
現在は、適切なテクノロジーを使えば、反復的な作業やデータプロセスを自動化できます。その結果、より創造的で思考的な仕事に専念できるようになり、戦術的および戦略的な意思決定により多くの時間を充てられるようになります。Qlikの顧客の中には、クラウドベースのCRM(顧客関係管理)、ERP(統合基幹業務システム)、会計管理、在庫管理のシステム間でデータ入力や在庫注文の判断を自動化しています。このような技術によって従業員はデータの再統合作業から解放され、自分たちが得意とする、困難かつ非線形的な判断を下す作業に集中できるようになりました。
競争の激化、データの増加、絶え間ない変化により、ビジネスの複雑さは増大しています。言い換えれば、意思決定の速度、精度、統制、拡張性、連携、自動化が求められていることになります。
この新しいデジタル時代の意思決定には、幅広いテクノロジーが必要です。ダッシュボード、拡張データ探索、ストーリーテリング、コラボレーション、リアルタイムに管理されたデータファブリック、プロセス自動化、人工知能(AI)、全てに役割があります。デジタルビジネスには、これらの要素の最適な組み合わせを提供するプラットフォームが必要です。それさえ見つかれば、アクティブインテリジェンスを実現させることができます。
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