レーザー核融合商用炉の実現を目指すフルスタック核融合スタートアップEX-Fusionが1億円調達、研究・開発を始動

今回は「レーザー核融合商用炉の実現を目指すフルスタック核融合スタートアップEX-Fusionが1億円調達、研究・開発を始動」についてご紹介します。

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本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


レーザー核融合商用炉の実用化を目指すEX-Fusion(エクスフュージョン)は1月26日、第三者割当増資による1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ANRIが運用する「ANRI-GREEN1号投資事業有限責任組合」。調達した資金は、将来のレーザー核融合商業炉の基盤技術の1つであるターゲット連続供給装置とレーザー照準装置の開発にあてる。ハイパワーパルスレーザーを用いたレーザープラズマ実験の高繰り返し化を実現する。

EX-Fusionは、レーザー核融合商用炉の実用化を目指す国内唯一のスタートアップ企業。2021年7月、レーザー核融合研究開発を遂行してきた大阪大学レーザー科学研究所、光産業創成大学院大学の研究者が設立した。

核融合エネルギーは、発電時に二酸化炭素の排出がなく供給可能なクリーンエネルギー源として、近年ますます注目を集めている。特にレーザー核融合は、負荷変動に対応できるため、既存のエネルギー源を代替し、2050年のカーボンニュートラル実現に大きく貢献できる可能性を秘めた技術とされる。

同社は、日本を拠点とするレーザー核融合エネルギーのスタートアップとしての地位を確立することで、民間資本を集め、高い開発リスクを受け入れながら、実用化に必要な技術開発を加速する。さらに、レーザー核融合商用炉実現を目指す過程で得られる最先端の光制御技術・知見などを活用し、エネルギー分野にとどまらず、様々な産業分野の技術開発に貢献するとしている。

レーザー核融合は、高出力レーザーを用いて重水素と三重水素の混合物を高密度に圧縮するとともに、高温度に加熱することで核融合反応を起こし、エネルギーを得る手法。日本をはじめ、米国・仏国・英国・中国・ロシアを中心に研究が行われている。

米国では、2021年8月、ローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設(NIF)の実験において、レーザー投入エネルギーの7割を超える核融合出力1.35メガジュールが達成された。これは、レーザー方式で核融合燃料を点火燃焼させることが可能であることを実証したものという。

ただ商用炉の実現には、(1)核融合反応発生効率の向上、すなわちレーザー投入エネルギーを超える核融合出力の達成、(2)核融合反応を10Hz程度の繰り返しで定常的に発生させ、核融合エネルギーを回収して電気・水素などの社会が利用可能なエネルギーに変換することが必要となる。

国内では、(1)の核融合反応発生効率の向上について、高効率化が期待される高速点火方式とよばれる外部からレーザーで高密度核融合燃料を追加熱する方式に注力しており、大阪大学レーザー科学研究所に整備された激光XII号・LFEXレーザーを用いて実験が遂行されている。EX-Fusion CEOの松尾一輝氏が第一著者としてまとめた最近の成果(Petapascal Pressure Driven by Fast Isochoric Heating with a Multipicosecond Intense Laser Pulse)は、米国のエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)が出版した世界の核融合研究サマリーでも参照されているという。

(2)の高繰り返しレーザーによる核融合発生については、同社CTOの森芳孝氏が光産業創成大学院大学の中核メンバーとして、浜松ホトニクスが開発した半導体励起ハイパワーレーザーを用いてトヨタ自動車などの連携機関と共同研究を遂行してきた(2030年以降を見据えたレーザー核融合研究開発の中長期展望)。

EX-Fusionは、国内で培われてきたレーザー核融合に関する知見を集約し、レーザー核融合商用炉を実現するために設立された。現在、光産業創成大学院大学が所有する10Hz連続ターゲット供給レーザー照射技術を同社へ技術移管中という。同技術をコア技術として研究開発を始動するとしている。

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