LibreOffice WebAssemblyのデモが公開、今年秋にはリッチテキストエディターのウィジェットが登場予定
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Microsoft Office互換のオープンソースソフトウェアであるLibreOfficeでは、現在WebAssembly版の開発が進められています。
今回、Webブラウザで動作させることができるLibreOffice WebAssembly(LOWA)のデモが公開されました。
デモ用のWebページにアクセスすることで、誰でもWebブラウザ上で実行し、試すことができます。
LibreOffice WebAssemblyのデモを公開したのは、ドイツのallotropia software GmbHです。同社はLibreOffice本体やLibreOffice WebAssemblyの開発などに積極的に貢献している企業であり、同社の社長であるThorsten Behrens氏はLibreOfficeの開発を推進するThe Document Foundation取締役会の一員です。
今回公開されたデモは、LibreOfficeのなかからワードプロセッサ機能を提供するWriter 7.4を切り出し、ソースコードをEmscriptenでコンパイルすることでWebAssembly化したもの。基本的にWriter 7.4の機能がほぼすべて利用できると説明されています。
長期的にはLibreOffice WebAssemblyはオリジナルのLibreOfficeの全機能を実装していくと見られますが、短期的には今年の第三四半期中にはHTMLに埋め込めるようなリッチテキストエディターのウィジェットを公開し、まずは使ってもらえるものを早めにリリースするとしています。
Thorsten Behrens氏はまた、LibreOffice WebAssemblyは従来のデスクトップ版LibreOfficeの代替を目指すものではないとしています。
LibreOffice WebAssemblyのユースケースとしては、Webブラウザをプラットフォームとする環境での利用、サーバにデータを送信することなくクライアント上だけで完結するプライバシーを要求する利用環境への対応、そしてWebブラウザ上で動作するため、スケーラブルなWebサーバ環境を用意しなくとも大規模展開できる利点を要求する環境などを想定しているとのことです。
2015年にいちどWebAssembly化に失敗、今回は再挑戦
LibreOfficeのWebAssembly対応は2015年にいちどプロジェクトが開始されたものの、当時はまだW3CによるWebAssemblyの標準化は行われておらず、Webブラウザでのサポートも貧弱で、Emscriptenコンパイラは例外を適切に扱えないなど、いまよりもずっとWebAssemblyまわりの技術やツールが未成熟だったため、失敗に終わりました。
あらためてWebAssemblyの環境が整ってきたことで、開発が再スタートしたことが2021年に明らかになります。
ただし、単にLibreOfficeのソースコードをEmscriptenでコンパイルすればWebAssembly化が実現する、というわけではなく、生成されるバイナリサイズが非常に大きく、アドレススペースが32bitしかなく、スレッドサポートが十分でなく、デバッグ環境が貧弱であるなど、さまざまな課題が存在していました。
これらを解決しつつ2022年1月頃にWriterのデモがプロジェクト内部で実現したことが明らかにされましたが、今回それが外部にも公開されたことになります。
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