データ保護のクラウド活用では日本が世界をリード–ヴィーム調査
今回は「データ保護のクラウド活用では日本が世界をリード–ヴィーム調査」についてご紹介します。
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ヴィーム・ソフトウェアは2月24日、世界のエンタープライズ企業におけるデータ保護市場の動向、導入、認識をまとめた年次調査「データプロテクションレポート2022」を発表した。
同社 執行役員社長の古舘正清氏は、まず日本法人の事業概況を説明した。米Veeam Softwareは世界で順調に業績を伸ばしている中、日本は世界をはるかに上回る速度で成長していると明かした。その背景には「お客様のクラウドシフト」があるとする一方で、「この先5年後にどれだけのワークロードがオンプレミスに残っているか」などと企業の経営層に尋ねても、「分からない」という返答が多いという。
その上で、変化が激しく不確実性が高まっている現在、どのような状況になっていても対応できる柔軟性、データ保護の文脈においてはどこにでもデータを移せる「データの移動性」が重要になる、と古館氏は指摘した。
同社では、「Veeamユニバーサルライセンス」(VUL)という仕組みでラインセンスのポータビリティー(可搬性)を確保しており、「ユーザー自身が選択権/コントロール権を持つ」という考えに基づくものだとした。オンプレミスからクラウドへシフトした場合でも、クラウド事業者が提供するバックアップ機能に依存してしまうとこれが新たなサイロとなってデータの自由な移動が難しくなる。こうした状況を危惧するユーザーが同社のソリューションを導入してデータやバックアップのポータビリティーを確保しようとする動きがあり、これらが同社の業績を押し上げているとした。
続いて、Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデントのDave Russell氏が調査結果を説明した。まずは調査の規模について「昨年(2021年度)の段階で既に3000社から回答を得て業界最大規模だったが、2022年度はさらに400社ほど増えて3400社から回答を得た」と話した。
「エンタープライズバックアップとは何か」「どの要素を重視するか」という問いに対しては、回答の上位が「IaaSやSaaSなど、最新のクラウドホスティングによるワークロードのサポート」「(Oracle、SAP HANAなどの)エンタープライズアプリケーションへの対応」「複数の場所や地域にまたがる管理の容易さ」「確実な信頼性」だったとし、15~20年ほど前に重視されていた「保護対象のデバイスを1000台または1万台まで拡張可能」といったいわゆる「エンタープライズクラスのスケーラビリティー」が下位に沈んでいるなどの変化が起きているとした。
また、バックアップソリューションを変更する理由については、この数年、2つの回答が首位を争う形だという。今回は「目標復旧時点(RPO)や目標復旧時間(RTO)のSLA達成率を改善するため」がトップで、「バックアップの信頼性・成功率を改善するため」が2位だった。
これはつまり、多くのユーザーが利用しているバックアップソリューションは「RPO/RTOに関して期待通りの成果が得られない」「確実なバックアップが行えない/成功率が低い」という問題に悩まされ続けているということを意味し、それを改善するためにより良いソリューションを探し続けているのだということになる。こうした事情を踏まえ、Russell氏は「恐ろしいことだ」と表現している。
バックアップ/データ保護におけるクラウド活用に関しては、主要なデータのバックアップ方法が「オンプレミスツールのみ」か「ソリューションの一部としてクラウドサービスを使用したバックアップ」かという問いに対し、2020年にはオンプレミスツールのみが40%だったが、2021年には34%、2022年には33%と右下がりの傾向が示された。
さらに、「2年後はどうなっているか」という問いに対しては、オンプレミスツールのみとする2021年当時の2023年予想は19%、2022年の2024年予想は21%だった。なお、2022年に「ソリューションの一部としてクラウドサービスを使用したバックアップ」と回答したのは世界で67%だったが、日本はそれをやや上回る69%だったという。こうした点を取り上げて、Russell氏は「クラウド移行に関して日本は世界よりも先行している」と語った。
最後に、古舘氏が2022年の国内事業戦略を説明。Russell氏のコメントを受けて「日本のお客さまではクラウドへのシフトが加速している」とする一方、「データの移動性を要件として重要視しているにもかかわらず、マルチクラウド環境でのデータ移動を前提としたインテグレーション能力がまだまだ乏しい」と指摘した。その上で、パートナーに対して「マルチクラウドの実装能力をさらに強化してもらうためにハンズオントレーニングなどの取り組みを強化していく」と語った。