Googleが開発したサーバレス基盤を構築する「Knative」、CNCFがインキュベーションプロジェクトとして承認。消極的だったGoogleは、なぜ心変わりしたのか?

今回は「Googleが開発したサーバレス基盤を構築する「Knative」、CNCFがインキュベーションプロジェクトとして承認。消極的だったGoogleは、なぜ心変わりしたのか?」についてご紹介します。

関連ワード (増減、寄贈、背景等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、Publickey様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は、Kubernetes上でサーバレス基盤を構築するためのソフトウェア「Knative」(ケイネイティブ)が、CNCFのインキュベーションプロジェクトとして承認されたことを発表しました。

[NEWS] We're excited to welcome the @KnativeProject to the #CNCF Incubator!

Read more about the project https://t.co/PmYTayVPqe pic.twitter.com/pK78hCZ67T

— CNCF (@CloudNativeFdn) March 2, 2022

Googleが昨年12月にKnativeをCNCFに寄贈すると発表しており、それが認められた形です。

  • Googleが「Knative」をCloud Native Computing Foundationに寄贈。Kubernetes上でサーバレス基盤を構築するソフトウェア

なぜ消極的だったGoogleがKnativeをCNCFに寄贈したか?

Knativeは、2018年にGoogleがオープンソースとして発表し、同社が主導して開発を進めてきたソフトウェアです。

Kubernetesの上でイベントをトリガーにしてコンテナを実行し、負荷に応じてコンテナの実行数をゼロから任意の数にまで自由に増減させる、いわゆるサーバレスコンピューティングの基盤を構築できます。

KnativeはGoogle Cloudのサーバレスコンピューティングサービスの1つであるCloud Runの基盤ソフトウェアとしても使われています。

  • Googleの「Cloud Run」が正式サービスに。KnativeベースでDockerコンテナをサーバレスとして実行

GoogleはKnativeの開発を主導してきましたが、CNCFへの寄贈についてはずっと消極的な姿勢を見せてきました。これはKnativeがGoogle Cloudのサービス基盤を構成するソフトウェアであるため、開発の主導権を自社で持ち続けたいからではないかと見られていました。

一方でKubernetes上でサーバレス基盤を構築するソフトウェアはKnative以外にも選択肢がありました。マイクロソフトとRed Hatが中心となって開発してきた「KEDA」です。

KEDAは2020年という早い段階でCNCFに寄贈され開発が進められてきました。

  • Kubernetes上でサーバレス環境を実現する「KEDA」がCNCFのプロジェクトに採用。サーバレスの標準化は進むか

そして2021年にはマイクロソフトがMicrosoft Azureのコンテナ用サーバレス基盤としてKEDAを採用します。

  • マイクロソフト、コンテナをサーバレスで実行する「Azure Container Apps」発表。KEDAとDaprを採用。Ignite 2021

そして現状を見渡すと、おそらくGoogleがKnativeを発表したときに望んだであろうと思われるほどには、Knativeの採用は広がっていません。主要なサービスやソフトウェアで採用しているのはGoogleとIBMくらいでしょう。そして残念ながらIBMはほとんどこの分野で存在感がありません。

こうしたなかでGoogle CloudではAnthosを中心とするKubernetes環境上でサーバレス基盤をより多くのユーザーに使ってもらうようにするには、Knativeをできるだけ事実上の標準の地位へと向かわせる必要があると考えた可能性があります。

少なくともKnativeより選考してCNCFに採用されたKEDAが、CNCFの威光によって事実上の標準と見なされるようになることだけは抑止したいはずです。

今回GoogleがKnativeをCNCFに寄贈し、インキュベーションプロジェクトになった背景には、こうした状況があるのではないかと考えられます。

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