「コンテンツクラウド」を前面に押し出したBox CEOの思惑とは

今回は「「コンテンツクラウド」を前面に押し出したBox CEOの思惑とは」についてご紹介します。

関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、米Box CEOのAaron Levie氏と、Snowflake 社長執行役員の東條英俊氏の発言を紹介する。

 米Boxの日本法人Box Japanは先頃、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。オンラインでの会見には、Boxの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏が登壇。冒頭の発言は同氏が会見の中で、「コンテンツクラウド」について述べたものである。

 会見の概要については速報記事をご覧いただくとして、ここではLevie氏の発言に注目したい。同氏の発言のキーワードであるコンテンツクラウドは、Boxが今、自らのサービスの代名詞として前面に押し出している言葉である。

 Levie氏によると、「これからのワークスタイルは、デジタル技術を活用していつでもどこでも安全に働けるようになっていく。そうした新たな働き方の中心にあるのが、エンタープライズコンテンツだ。コンテンツは業種業態にかかわらず、働く環境の中心にある。にもかかわらず、これまでそれらは企業内でシステムごとにバラバラに管理されてきた。そんなコンテンツを企業として生かしていくためには、一元管理して柔軟かつ安全に利用できるようにする仕組みが必要だ。それが、コンテンツクラウドである」とのことだ。

 さらに同氏は、「コンテンツクラウドは、あらゆる種類のコンテンツのライフサイクル全体を管理することができる」とも説明。「コンテンツのライフサイクル管理」も重要な要件として挙げた(図1)。

 Boxのビジネスはもともとクラウドサービスなので、コンテンツクラウドと言われても違和感を抱く向きは少ないかもしれないが、筆者はこの言葉遣いの変化が気になった。

 ということで、本連載「今週の明言」のこれまでの記事から言葉遣いについて振り返ってみると、2018年8月31掲載の記事では『Boxは単なるクラウドストレージサービスではない』というBox Japan 代表取締役社長の古市克典氏の発言を紹介した。その際、同氏はBoxを「クラウド・コンテンツ・マネジメント・サービス」と表現し、「クラウドを使ってさまざまな業務アプリケーションから基幹システムまで、全てをマネジメントする仕組みを目指している」と説明した。

 また、2019年7月26日掲載の記事では「Boxが企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を段階的に進めていく」という同社 執行役員の三原茂氏の発言を紹介し、Boxが「企業のDXプラットフォーム」を目指している姿勢について書いた。ちなみに、2020年7月3日掲載の記事では「私たちのミッションの取り組みは始まったばかりだ」というLevie氏の発言を紹介し、働き方変革に対する同氏の基本的な考え方を読み解いてみた。

 今回の会見で、同社はコンテンツクラウドの全体像として図2を示し、図中に記された1〜11がその機能や特徴を表したポイントだと説明した。企業のさまざまな業務形態におけるBoxの役割を示したものと受け取れるが、上記のこれまでの経緯を踏まえた筆者の印象では、目指すは「エンタープライズ・クラウドプラットフォーム」といったところか。コンテンツクラウドという言葉の真意と今後のアクションを注視していきたい。

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