住友商事、グループ約900社のビジネス変革をAWSで加速–デジタルソリューションの総合商社目指す
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住友商事は、Amazon Web Services(AWS)上で世界66カ国・グループ企業約900社のビジネス変革を加速し、デジタルソリューションの総合商社を目指す。同社はこの取り組みの一環として、AWS上にグループ共通のクラウド利用基盤「SCデジタル基盤」(SCDP)を構築し、さらにSAP環境のAWS移行を開始した。アマゾンウェブサービスジャパンが6月22日に発表した。
住友商事のグループ企業のSCSKが支援する。同社は、最も経験豊富なコンサルティングパートナーとして「プレミア」に位置づけられている。SCDP上でAWSサービスを迅速かつ安全に活用し、グループ全体のデジタル変革(DX)を推進し、デジタルソリューションの総合商社を目指す。
SCDPでは、東京と大阪の2つのAWSリージョンを活用し、高い可用性と低遅延なアクセスを同時に実現し、事業継続性を確保。また、「AWS Well Architectedフレームワーク」のベストプラクティスに基づき、「Amazon GuardDuty」「AWS Security Hub」などのクラウドネイティブなサービスを活用してグループ全体のセキュリティガバナンスの強化を図っている。
加えて、SCDP上の各システムが共通して利用する、監視・データ連携・データ管理の機能をメニュー化して提供することで、各事業部門やグループ企業でのクラウド利用検討時の時間短縮によるコスト削減と全体のセキュリティ向上を目指している。
SCDPは今後、オンプレミスで稼働していたリスク管理システム、統合ID管理システムなどの60以上の業務システムを順次移行するとともに、グループ企業での活用を進める予定。
住友商事はまた、「RISE with SAP on AWS」を採用することで、同社の基幹システム「SIGMA」を既存環境の「SAP HANA Enterprise Cloud」からクラウドERPの「SAP S/4HANA Cloud」に移行する。「SAP Business Technology Platform」(SAP BTP)なども活用する。
同社のSAP環境は、営業、会計、経営情報システムなど16以上のアプリケーションを支える約60インスタンスに及ぶ、日本でも有数の規模という。国内拠点・グループ会社については2024年末までに、海外については2026年中旬までに移行を完了予定。これにより、同社はグループのビジネスデータをつなぐモダンで、パフォーマンスの高いシステムを構築する。
住友商事 理事 DX・IT統括責任者補佐IT企画推進部長の塩谷渉氏は、AWSを採用したポイントについて「マルチリージョンでのBCP/DR対策」「柔軟なコスト体系」「データドリブン経営に向けて」の3つを挙げた。
「住友商事は最先端のテクノロジーを活用したDXを推進しており、AWSはこれをグローバル規模でさらに加速する上での重要なエンジンである。大幅に強化したセキュリティガバナンスを備えたSCデジタル基盤の構築により、当社グループ約900社のスピーディーな新規事業創造、既存事業の価値向上を可能とする。また、SAPや業務システムのAWSへの移行により、クラウド上のさまざまなサービスとの連携がスムーズに実現でき、データに基づいた迅速な意思決定と業務プロセスの最適化を進めるとともに、生成AIなどの最新のクラウドテクノロジーを活用した社会課題の解決にも取り組んでいく」(塩谷氏)
将来的には、これらのSAP環境とSCDP上に構築/移行した業務システムを連携し、AWSのアナリティクス・機械学習サービスを組み合わせることで、データドリブン経営の推進を目指すとしている。