開始まで1年4カ月–インボイス制度対応で気を付けたい3つの落とし穴:freee解説

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 freeeは5月31日、インボイス(適格請求書)制度に関する報道関係者向け勉強会を開催した。2023年10月1日から導入されるインボイス制度について、同社 プロダクト戦略本部 プロダクトマーケティングマネージャー 尾籠威則氏は「正直に述べると中小企業側にメリットはない。だが、(2022年度から提供枠を拡大した)経済産業省の中小企業、小規模事業者を対象(にソリューションやクラウド導入を支援する)IT導入補助金を活用すれば、負担額を軽減できる」と助言した。

 インボイス制度実施まで約1年4カ月を切り、多くの法人や企業が対応に追われている。消費税は軽減税率導入に伴う領収書や請求書の複雑化を招き、長年の益税問題を引き起こしていた。

 「本来の消費税は、消費者と事業者が納税した結果が合致する仕組みだが、(売り上げ1000万円未満で消費税が免税される)免税事業者の利益になってしまう」(尾籠氏)。他方で「消費税免税の特例措置条件は年々厳しさを増している」

 振り返ると、平成元年の1989年は基準期間の年間課税売り上げ3000万円以下まで免税されていたが、2004年には上限を1000万円に引き下げた。財務省の2013年税務統計情報などをfreeeがまとめたデータによれば、個人の免税事業者数は435万人(全体の55%)、法人の免税事業者数は77万社(同9%)と約6割を占める。

 尾籠氏は「平成(時代)は免税事業者の数を減らす方向に軸足を置いていたが、令和(時代)は免税事業者だとビジネスがしづらくしている」と指摘する。

 当然ながら免税事業者は適格請求書を発行できないが、企業は適格請求書でなければ、課税期間中の課税売り上げにかかる消費税額から課税仕入れなどに発生した仕入れ税額を控除する仕入れ税額控除を受けられない。

 納税額増加を避けたい企業は、必然的に免税事業者ではなく課税事業者との取り引きを選択するだろう。これがフリーランスや個人事業主に対してインボイス制度が大きなダメージとなる背景だ。

 政府はインボイス制度に伴う影響として課税事業者への転換数は約161万人、新たな課税事業者の税負担は約15万4000円と試算し、約2480億円の増収を見込んでいると、第198回国会・財務金融委員会で答弁している。

 freeeが実施したウェブ調査によれば、53.4%の企業が転換を予定しているが(有効回答数148)、企業規模で比較すると、従業員301人以上の大企業は70%、従業員300人以下の中堅企業は50%、従業員20人以下の小規模企業は28.2%まで低下した。

 同社が法人企業の経理財務担当者を対象に、2022年5月に実施した別の調査によれば、インボイス制度の理解度は32.3%(有効回答数490)。こちらも企業規模の小さくなるほど認知度が低下する傾向が確認できた。

 否応がなしに時期が来れば始まるインボイス制度だが、尾籠氏は「インボイス制度導入時時は多大な負荷が発生するにもかかわらず、経理財務担当者が見落とす三つの落とし穴がある」と解説する。

 それは発行した適格請求書の保存義務化、受領した適格請求書の保存義務化、記帳負担増加の三つだ。消費税法に限れば、発行した請求書の控え作成義務が発生し、2021年末に2年の猶予を設けた改正電子帳簿保存法もインボイス制度開始2カ月の2023年12月31日で猶予期間が終了する。

 前述した免税事業者からの取り引きは経過措置が設けられ、2026年10月までは80%控除可能。さらに2029年10月までは50%の控除が可能だが、区分記載請求書を発行しなければならない。

 これらの背景を踏まえた同社は自社製品のインボイス制度への対応を進めている。「freee会計」「freee受発注」は請求書発行機能を強化し、freee会計はインボイス情報のAI OCR読み取りやスマートフォン撮影に対応。さらに税区分の自動判定やファイル管理機能を強化し、freee会計と「freee申告」はインボイス制度に対応した消費税申告書作成と電子申告が可能になる予定だ。

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