三菱電機、「循環型デジタル・エンジニアリング企業」を表明–DX施策なども

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 三菱電機は、5月30日に発表した2022年度の経営戦略で、統合ソリューション事業を強化し、新たに「循環型デジタル・エンジニアリング企業」を目指す方針を打ち出した。

 会見で執行役社長CEO(最高経営責任者)の漆間啓氏は、「サステナビリティー(持続可能性)を経営の根幹に据え、事業を通じた社会課題の解決を推進するため、新たな価値提供の一つの形として『統合ソリューション』を強化する。コンサルティング、システムエンジニアリング、保守・運用の3つのプロセスを切れ目なく提供し、個々のお客さまニーズに柔軟に応え、循環型デジタル・エンジニアリング企業に変貌していく」と宣言した。

 漆間氏は、循環型デジタル・エンジニアリング企業の定義を「データを基に価値を生み出し、幅広い領域のお客さまに還元するサイクルを繰り返し、その結果、多様な社会課題の解決に貢献する企業」と説明。三菱電機の幅広い事業領域でつながるさまざまな顧客に製品やサービスを利用してもらうことで生じるデータをデジタル空間上に集め、関係する各種部門がこのデータを分析して、顧客自身も把握し切れていない潜在的課題やニーズを見いだし、新たな価値を創出できる企業を目指すという。「デジタル空間でグループ内の部署と部署、人と人のつながりを強めて知恵や知識を集積する場とし、さらなる創造力を発揮する場にしたい」と述べた。

 ここでは開発、設計、生産、品質保証、営業などの部門が連携し、エンジニアリングを行える体制を敷くという。また「データ活用でグループ内のつながりを強化し、創造力を発揮して、統合ソリューションを進化させ、提供価値を拡大したい」と語り、100年に渡るものづくりを強みにした製品やサービスなどのコンポーネントをさらに強化し、コンポーネント同士を連携したシステム構築も強化した上で、これらを組み合わせた統合ソリューションの幅を広げていくという。

 統合ソリューションは、システム提供をライフサイクル全体でサポートするソリューションと位置付け、導入時コンサルティング、顧客の要望に応えるシステムエンジニアリング、システム導入後の運用・保守、より良いシステムへの更新までを提案、サポートするものとしている。

 漆間氏によれば、現状で取り組めているのは、強化されたコンポーネントの領域とコンポーネントが連携したシステム領域にとどまる。今後は統合ソリューションとして提供する際に、コンサルティング、システムエンジニアリング、保守・運用を連携させていかなくてはならないとし、統合ソリューションで複雑化する顧客や社会の課題への解決力、対応力を向上させ、提供価値の拡大を目指すという。「三菱電機が将来も社会に必要とされ、成長を持続するための原動力とする」と述べる。

 また社会システムや電力システムでは、「コンサルティング人材がおり、コアコンポーネントに『e-Factory』や『Ville-feuille』などを連携、提案してきた成果もある。だが、こうした取り組みを三菱電機全体で実現するにはコンサルティング人材のさらなる強化が必要。統合ソリューションの加速に必要な人材を獲得し、コンサルティングを強化することが重要な取り組み」とした。

 コンポーネントでは、パワーエレクトロニクスや制御などの三菱電機が持つ強い技術と、人工知能(AI)やモデリングなどの先進技術を融合させ、小型、省電力化、スマート化を追求する。コンポーネント同士が連携したシステムでは、現場や機器のさまざまな知見を活用して、安全で柔軟性、拡張性の高いシステムを実現するとし、これらを中核に統合ソリューションを強化していくと説明した。

 「統合ソリューションの実現に必要なものはデータと分析力の向上である。アルゴリズムを用いて、リアル空間をデジタル空間上に精緻(ち)に再現するデジタルツインの活用が重要だ。リアル空間のお客さまの運用環境をデジタル空間に再現して、最適な運用条件を導き出し、これを再びリアル空間に適用して、安全、スマートな保守運用を実現する。将来の故障を予知し、適切な更新時期を見積もれることで、最適な資産管理が可能になる」(漆間氏)とする。

 さらに、「統合ソリューションの運用を通じて、新たなデータを得られ、そのデータの分析から、現場での潜在的なニーズや課題が数多く浮き彫りになり、これらの解消に向けた検討を深められる」としながら、「これは三菱電機にとっても大きなメリットを生む。以前からの強みであるコアコンポーネント、フィールドナレッジ、先進デジタル技術も強化でき、その強みがアルゴリズムとしてデジタルツイン上に反映され、統合ソリューションを進化させることができる」とした。

 統合ソリューションでは、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー(循環経済)、安心・安全、イクルージョン(包含)、ウェルビーイング(幸福)の5つの課題領域に対して解決を図ることで、地球環境と融和した社会インフラ、廃棄のない社会、災害や事故のない社会の実現を目指すという。

 同社は、2021年12月に東京・丸の内の本社ビル内に「XCenter(クロスセンター)」を開設。最新のデジタルトランスフォーメーション(DX)や統合ソリューションを展示し、同社が描く未来のスマートシティー像を示し、オープンイノベーションを推進する場として、顧客やパートナーとの共創を生み出し、社会課題を解決していく取り組みも開始している。

 また、統合ソリューションの進化に向けて、2022年2月にApple、Microsoft、ベネッセ、パナソニックなどでビジネス経験のある榊原洋氏をCDO(最高デジタル責任者)兼ビジネスイノベーション本部長として招聘(しょうへい)している。「外部での経験や新たな発想力を生かしてもらい、やり方を総合点検し、転換すべき方向性は何かといったことを三菱電機の中に埋め込んでいく。やり方や考え方、ビジネスの作り方を、自分たちに身につけて新たなビジネスに挑戦したい。お客さまや社会にどんな貢献ができるのかを深堀りしたい」と漆間氏は述べた。

 一方で、重点成長事業の強化、統合ソリューションの拡大に向けて、ソフトウェア設計子会社6社を統合した「三菱電機ソフトウエア」を4月に設立した。ソフトウェア設計の体制整備や開発力強化を図り、生産性向上、人員拡充、新技術の取り込みなどの効果を見込んでいるという。漆間氏は、「各社が培ってきたソフトウェアに関する技術や知見を結集し、三菱電機グループの総合力を発揮できる体制に転換していく」と述べた。

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