DX目的で増える「第三者保守」の利用–リミニストリートのラビンCEO
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基幹システムソフトウェアの第三者保守サービスを手がけるRimini Streetは、2022年1~3月期の収益が前年同期比11.4%増の9790万ドル(約125億4000万円)、顧客数も13.1%増の2884社と好調だった。最高経営責任者(CEO)兼取締役会長のSeth Ravin氏は、「増えないIT予算内でデジタルトランスフォーメーション(DX)を行っていくための選択肢になっている」と話す。同氏に、コロナ禍におけるビジネスの状況などを聞いた。
依然としてコロナ禍が収束する兆しは見えづらいが、企業のDXは待ったなしの状態が続く。Ravin氏の来日は約2年半ぶりで、5月に同社日本法人が開催したユーザーカンファレンスに出席。これには150社余りの顧客が参加したといい、Ravin氏は「参加されたCIO(最高情報責任者)やCFO(最高財務責任者)の変革に対する危機意識と、その取り組みを推進する意気込みを強く感じた」と述べる。
「コロナ禍は企業にいろんな変化をもたらし、日本にとっては強制的であったとも言えるだろう」とRavin氏。感染対策としてリモートワークの全社一斉導入などはその最たるものだが、対面取引の著しい制限で収益が減り、その維持のためにオンライン化も加速している。こうしたことのためにIT予算の重要性も高まった。
企業がDXを進める理由は、極論すれば、何もしないとビジネスが縮小して、いずれ倒産するからといえる。ビジネスの停滞を打開するためにITを必要として、IT業界団体や調査会社などのアンケート結果を見ても、IT予算を増やすという企業は多い。ただ、その上昇幅は多くの場合で数%台だ。DX投資で確実な収益の増加が約束されるわけではなく、試行錯誤のDXに巨額のIT予算を投じるという企業はそう多くはない。
これまでRimini Streetのような第三者保守を利用する企業は、ITシステムの保守品質を下げすに費用を削減するという効率化目的が多かった。そこにDXの必要性が出てきたことで、Ravin氏は「日本を含めアジア企業はこれまで保守的だったが、もはやそうしてはいられないと変化している。IT予算の総額が大して増えない中で、CIOはDX投資に予算を割かないといけないし、対応スピードも要求されている。われわれには技術と財務の両面でITシステムの最適化を図るフレームワークと実績があり、変化の中に置かれた顧客に方向性を示すことができる」とアピールする。
例えば、同社が主に保守する基幹系システムでは、基本的にソフトウェアはそのままで、稼働基盤をオンプレミスからIaaSなどに切り替える「リフト&シフト」が多い。「われわれはクラウドのハイパースケーラー各社とも提携しており、サーバーなどインフラを含めた全体の効率化を支援できる」とし、「もう一つSaaSに切り替えるという方法もあるが。われわれはSalesforceなどのSaaSパートナーとも連携して対応できる」とRavin氏。近年は顧客ニーズが高いというセキュリティサービスの拡充も図っていると述べる。
ソフトウェアの保守を開発元のベンダーやそのパートナーが手がけるケースがほとんどであり、第三者が保守を行うというケースはまだ新しい部類に入る。ユーザーとしては、やはり開発元のベンダーが行うことによる安心感、サービス品質への不安も少ない点が大きい。ただ、費用面で検討の余地が出てくる。そこに同社が品質と費用への効果を特徴に掲げ、同社自身のビジネスを成長させてきた。「Gartnerの調査でわれわれの(ソフトウェア第三者保守サービス市場)シェアは86%に達している」(Ravin氏)
今後についてRavin氏は、保守サービスの対象範囲や水準をITIL(Information Technology Infrastructure Library) 2や同3から同4に拡大したいとするほか、「引き続きクラウドへの移行、サイロ化しているシステムの統合化など、より広範な顧客のニーズに応えていきたい」と話す。