DX施策の目標設定と実行–KPIと役割を明確にして進める
今回は「DX施策の目標設定と実行–KPIと役割を明確にして進める」についてご紹介します。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)の施策を立案したらいよいよ実行に取り組みますが、その際に目標と重要業績指標(KPI)を設定します。また、施策の実行においては関係する部門の役割をフェーズごとに事前に明確にしておくことが重要です。
前回は、施策の類型と立案の進め方を説明しましたが、次のステップである施策の実行に先立って目標設定と役割の明確化が重要なステップとなります。それでは、まず施策の目標設定について見ていきましょう。
DX施策の実行は仮説検証型のアプローチで進めていきますが、その施策が有効であるかを検証する必要がありますので、それぞれの施策に目標を設定することが求められます。目標は、できる限り定量的に測定できる数値で示されるべきなので、KPIとして表現します。施策の目標設定で行う具体的なKPI設定の考え方についても触れておきましょう。
まずは、それぞれの施策案件ごとに、それによって「在りたい姿」を明確に示す必要があります。これについては定性的な記述で構いません。その上で、何をもってその「在りたい姿」が実現できたと言えるのかを表す指標(成果指標)や、目指す姿になるために必要な活動の進行状況を確認できる指標(活動指標)をKPIとして設定します(図1)。
そして、設定したKPIについて、(必要な場合は測定して)現状の値を明確にした上で、施策の実行によって達成しようとする目標値を設定します。できれば成果指標と活動指標の両方を設定することが望ましいのですが、施策案件の性質によっては、成果が測りにくいため活動指標だけしか設定できない場合もあるでしょう。
その場合は活動指標を複数設定するなどして、計画や成果の達成度合いを確認できるようにすると良いでしょう。いずれの場合においても評価時期を明確にしておくことがポイントとなります。これまでのIT施策の事後評価は、稼働時点または稼働後6カ月から1年程度を評価時期とするのが一般的でした。一方、DX施策は、すぐに効果が表れるものばかりではないため、3年後といった中長期の評価となる場合があります。
またその一方で、DX施策は、実施後に中断や方向転換が必要なものが多いため、施策の継続可否判断や内容の軌道修正などのために、短期的に評価のサイクルを回す必要があるような案件もあります。このような問題に対処するために、成果指標と活動指標をうまく組み合わせて短期と中長期の両方の評価ができるよう工夫を凝らすことが推奨されます。