SAPジャパン、SaaS型「S/4HANA Cloud」の最新版を提供–ABAPでカスタム機能を開発可能に
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SAPジャパンは10月4日、パブリッククラウド型(SaaS)で展開する統合基幹業務システム(ERP)「SAP S/4HANA Cloud」の最新版の提供を開始した。
記者会見に登壇したSAPジャパン バイスプレジデント RISEソリューション事業統括の稲垣利明氏は冒頭、経済産業省が「2025年の崖」として提起する日本企業の課題を振り返った。同氏は、「約7割の企業で老朽システムがデジタル変革(DX)の足かせなっている」「IT関連費用の80%は現行ビジネスの維持、運営に費やされている」とした上で、「既存システムの軽量化が今後の企業の成長に向けた喫緊の課題」であると指摘した。
加えて、日本政府が「クラウド・バイ・デフォルト原則」の方針を示し、政府機関が情報システムを構築する際にクラウドから優先的に検討するようになるなど、「企業・組織が利用するシステムのクラウド化はますます加速していく」(同氏)とした。
SAP本社でも、事業の急速なクラウド化を進めており、2025年にはグローバル全体で22億ユーロ(約3兆円)を売上目標に掲げている。その中心となるのが2021年に発表された「RISE with SAP」で、SAP S/4HANA Cloudを中核に、その移行を支援するツール・サービス、ビジネスネットワークやビジネステクノロジープラットフォームを活用することで、「インテリジェントサステナブルエンタープライズを実現するものになる」(稲垣氏)
SAP S/4HANA Cloudには、プライベートクラウド型とパブリッククラウド型の2つがある。日本市場向けの戦略として、稲垣氏は「ERPの新規導入あるいは再導入を検討している企業に対しては、第一の選択肢としてパブリッククラウド型を提案していく」と話す。SAPジャパンでは、新たに専任営業部隊を組織した事業推進体制の強化とともに、パートナーエコシステムの強化 ・拡大を図っていく方針だという。
パブリッククラウド型の最新版では、開発言語「ABAP」(Advanced Business Application Programming)を用いたプログラミングによって、クラウドシステム上でのカスタム機能開発が行えるようになった。これまで、標準機能ではカバーできない業種あるいは顧客固有の要件に対応するため、「In-App拡張」と「Side-by-Side拡張」と呼ばれる2つの拡張方法が用意されていた。
In-App拡張は、顧客独自の項目やビジネスロジックの追加、カスタム分析の追加作成といったカスタマイズを、ローコード/ノーコードで行う拡張ツール。Side-by-Side拡張は、開発基盤「SAP Business Technology Platform」(SAP BTP)を用いてアプリケーションを開発し、公開APIを介してSAP S/4HANA Cloudと接続するという形で利用される。
新たなカスタム機能開発では、拡張の柔軟性を大幅に高めるもので、近年急速に強化された製品標準機能と併せて、販売業務や製造業務といった業種あるいは顧客固有の要件が見られる領域にも十分に対応可能なものとなっているという。また、公開オブジェクトを使用した開発手法を採用しており、将来的な製品更新の影響を受ける心配がないとしている。ABAPを用いた業種別の機能開発については、パートナー企業による開発を中心に進めていく方針となっている。