大王製紙、パッケージのデザイン開発にAI活用–デザイン評価を最短10分で完了
今回は「大王製紙、パッケージのデザイン開発にAI活用–デザイン評価を最短10分で完了」についてご紹介します。
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「エリエール」などの衛生用紙製品を展開する大王製紙は、パッケージのデザイン開発のため、デザイン評価サービス「パッケージデザインAI」を導入した。同サービスを提供したプラグが7月26日に発表した。
パッケージデザインAIは、1020万人の消費者調査の結果を学習データに使い、プラグと東京大学が共同研究で製作したシステム。消費者がデザインをどのように評価するかを人工知能(AI)が予測する「評価AI」と、デザイン生成と評価を繰り返し行い、1000のデザイン案を生み出す「生成AI」の2つの機能が搭載されている。
今回、大王製紙は「エリエール消臭+トイレットティシュー」のパッケージデザインのリニューアルに評価AIの機能を活用したという。デザイン開発の過程で社内調査を経て7つの案に絞り、さらに会場調査(CLT)にかけるデザインを絞り込む際に同システムを活用。デザインの好感度スコアをAIが予測し、好感度が高いものや伝えたいイメージの項目が高いものから3つの案を選定した。
また、デザインのどの部分に注目するのかを可視化するヒートマップからも、3つの案は注目度が高く、訴求ポイントが伝わっていることが確認できた。
選定された3案は実際に会場での調査が行われ、AIが予測した好感度スコアと会場調査での購入意向を比較すると、AI予測と会場調査の順位が一致したことが明らかになった。
大王製紙では、以前はパッケージのデザイン開発において対面での消費者調査を行っていたが、新型コロナウイルス感染症の流行により対面での消費者調査が中止。十分な調査ができない状況の中で迅速にデザイン評価を行うため、パッケージデザインAIの導入を決めたという。
従来の消費者調査では、調査設計から結果分析まで1~2カ月かかるが、同システムの場合は10~20分で評価結果が出る。また、消費者調査と比較して低コストで実施できることから、これまで調査を行わなかった期間限定品や軽微なリニューアルにも調査ができるようになったという。
既に複数の商品で同システムを活用している大王製紙。H&PC部門 マーケティングコミュニケーション部の中村亘氏は、「今後はデザイン制作の工程内でAIを繰り返し使い、デザイン分析と修正を行い、より良いデザインの開発につなげていきたい」とコメントした。