HPE、脱炭素目標を10年前倒し–2040年までにCO2排出量を90%削減へ

今回は「HPE、脱炭素目標を10年前倒し–2040年までにCO2排出量を90%削減へ」についてご紹介します。

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は7月28日、HPEのESG(環境・社会・ガバナンス)に対するアプローチ、プログラム、進行状況をまとめた年次報告書「2021年版 Living Progress Report」を発表。同社 サステナビリティ推進部 部長の安本豐勝氏が同社の取り組みについて説明した。

 安本氏は、同社の経営理念(パーパス)は「人々の生活と働き方の向上」であると紹介し、「データファーストな世界のために持続可能で公正なテクノロジーソリューションを創出」することが企業使命(ミッション)であると説明。その上で、同社のESG戦略の柱として「ネットゼロへの加速」「人への投資」「誠実な運営」の3点を挙げた。

 ネットゼロとは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること。今回発表の年次報告書では、バリューチェーン全体でネットゼロ企業になるという宣言を再確認し、目標達成時期を当初設定した2050年から10年前倒しして2040年に再設定した。

 この取り組みは、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える、Science-based Target イニシアチブ(SBTi)の目標と整合したものという。HPEは、2030年までに自社事業の二酸化炭素(CO2)排出量(Scope1、2)を2020年比で70%削減し、過去5年間で既に達成した62%削減に上積みする形になる。また、自社以外の供給網(Scope3)による排出量の42%削減に向けて、販売済み製品の使用、上流の輸送・流通、直接のサプライチェーンによる排出量削減に取り組む。最終的には、2040年までにCO2排出量を90%削減する計画だ。

 この目標に対する説明責任を果たすため、HPEでは、経営幹部層を対象としたESG推進に関する2つの新しい取り組みを導入した。1つは、2022年にバイスプレジデント以上の役職にある全ての経営幹部に対して、気候変動トレーニングプログラムの修了を義務付けた。もう1つは、Executive Committee(執行委員会)のメンバーに対して、変動報酬の一部をHPEのバリューチェーン全体の炭素排出量管理と連動させる新しい報酬指標を採用した。

 また、安本氏は「企業はサステナビリティー(持続可能性)に重点を置いているにもかかわらず、その多くはサステナブルITに対する戦略を持っていない」と指摘する。同社では、アズ・ア・サービス企業への転換を図ることで、顧客企業のサステナブルな変革への取り組みを推進しているという。

 例えば、同社が提供するクラウドサービス「HPE GreenLake」は、顧客のニーズに応じて柔軟にIT環境を拡大縮小でき、利用効率を向上させ、過剰なプロビジョニングによる無駄を回避できるとする。従来の所有モデルから、消費モデルに移行することで、エネルギーコストと総所有コストを30%以上削減できると同氏は話す。

 HPEはテクノロジーのアップサイクル(創造的再利用)にも注力している。顧客から引き取った300万ユニットに及ぶテクノロジー資産のうち、85%がアップサイクルされ、再利用されているという。また、HPE Financial Servicesと一部パートナーの顧客に対しては、IT資産の処理方法と同サービスによる環境保全の詳細を記した「HPE Circular Economyレポート」が提供され、Scope3排出量削減の情報開示に利用可能となっている。

 「人への投資」について、HPEは、職場内外における多様性、公正性、包括性の理念を推進し続けている、と安本氏は述べる。2021年に、女性と多様な人種の在籍者割合を増加させるという年間目標を達成させた。具体的には、社員の女性比率が前年度比で1%増加し、全世界のあらゆる職位で女性比率が高まり、技術職と管理職の両方で目標を上回った。また、米国内における社会的少数者(マイノリティー)の在籍比率が1.6%増加した。

 2022年も、女性やマイノリティーに影響を与える可能性のある給与格差を特定し、それに対処するための取り組みを継続するとし、2027年までに黒人系とヒスパニック系のエグゼクティブの人数を2倍にする、女性のエグゼクティブの比率を33%に増やすといった目標を掲げている。

 3つ目の柱である「誠実な運営」については、「エンタープライズIT企業の複雑でグローバルなバリューチェーンは、倫理的行動、サイバーセキュリティ、またはその他の人権問題の違反に起因する規制、評判、および混乱に関連するリスクの増大をもたらす」と指摘。

 その上で、HPEのアプローチは、正しい方法でビジネスに取り組み、自社自身やサプライヤー、パートナーを最高の倫理基準に保つことだという。2021年には人工知能の責任ある開発、展開、利用を支持する「Artificial Intelligence(AI)Ethics Principles」(AI倫理規範)を発表している。また、より厳格なサプライチェーン責任目標を同年に設定し、製品の倫理的な調達に努めており、2030年までに以下の達成を目指している。

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