第36回:「ひとり情シス」は中堅企業で減少、中小企業で増加
今回は「第36回:「ひとり情シス」は中堅企業で減少、中小企業で増加」についてご紹介します。
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ひとり情シスに関する問題については、これまで100人以上の中堅企業で語られることが多かったです。2017年2月に発表された、国内初となるひとり情シスの実態調査では、従業員数100人を超えた企業であっても、一人の情シス担当者が社内のIT機器や情報システムを管理している現実が明らかになり、大きな驚きをもって報じられました。その中には、主務をこなしながら情シス業務を兼務する「ゼロ情シス」も多く含まれていました。
一方、99人以下の中小企業では、専任のひとり情シスを抱えている企業は少数派で、むしろ先進的な企業です。中小企業の情シス担当者のほとんどが兼務であり、経理や人事などの管理部門や、PCに詳しい社員、または社長などが担当しているケースが一般的です。
2022年1月にひとり情シス協会が発表した「ひとり情シス実態調査」「中堅中小企業IT投資動向調査」では、専任のひとり情シスがいる中小企業は11.5%、中堅企業では26.2%だということが分かりました。
同じひとり情シスでも、企業規模によって意味合いが全く異なります。数十人規模の中小企業が今後のデジタル化推進のために情シスを専任化するならば、その決断はまさに英断といえるでしょう。
コロナ禍になって2年が経過し、ひとり情シスの傾向にも変化が起きています。ひとり情シスから2人以上の情シス態勢への変化です。リモートワーク環境の構築、事業継続計画(BCP)の策定、セキュリティ対策の強化など、情シスはコロナ禍でさまざまな対応を余儀なくされました。そんな中でどうしても手が回らなくなり、増員を決めた企業が多いようです。
本来はコロナ禍と関係なく必要に応じて増員すべきですが、中堅中小企業の場合、平時に情シスの増員を決定するのはなかなか難しいようです。これは、サイバー攻撃や不正アクセスなどの被害に遭った企業が、セキュリティ投資に積極的になるのと似ています。
中堅企業でひとり情シスをやっている方々から「ひとり情シスを卒業します」「二人目の情シス採用が決まりました」といった増員の報告が相次いだので、中堅企業のひとり情シスが減少傾向にあることは想像していましたが、コロナ禍以前に実施した2019年末の調査と比較すると、3.3ポイントも減少しており、その傾向は明らかです。しかし、まだ100~499人の企業でも4社に1社はひとり情シスという現実もあります。
一方、中小企業では異なる傾向が明らかになりました。99人以下の企業の多くは、専任の情シス担当者がいない「ゼロ情シス」でしたが、2020年からの2年間で専任担当者である「ひとり情シス」が増加傾向にあることが判明しました。
近年は、情シスを専任化する企業や法人が増加傾向にあります。また、コロナウイルス感染症の広がりの中で、医療関係者やエッセンシャルワーカーの方々が私たちの社会インフラを支えていることを再認識しました。一般的にはITやデジタル化が遅れていると言われている業種でも、昨今の人手不足も重なり、デジタルの力で業務効率を上げようという兆しが見えます。
高齢者介護などを含む保健医療サービス、生活保護業務を担う行政サービス、ケータリングなどの宅配サービス、地域のネットスーパーなどの生活衛生サービス、学校を含む教育サービスなど、あらゆる業種から実際にデジタル化に関する多くの相談を頂いています。少子高齢化に直面するこれからの日本で、とても大切な役割を担うであろう企業や法人でも、ひとり情シスが新しく専任となって奮闘を開始しています。