世界の電子部品サプライチェーンに安定化の兆し–Supplyframe
今回は「世界の電子部品サプライチェーンに安定化の兆し–Supplyframe」についてご紹介します。
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偏りはあるものの、世界の電子部品サプライチェーンは安定化し始めているようだ。また幸い、当面の間は需要が高い状態が続き、2023年までは問題が継続するものの、製品の入手可能性は改善すると予想されている。
この分析は、世界の電子部品バリューチェーンに関わる製品の設計、供給、マーケティング、販売を行う企業に対して、業界エコシステムに関する詳細な情報を用いたサービスを提供しているSupplyframeのデータを元にしたものだ。レポートによれば、2023年まで継続するマイナス要素には、リードタイムの増大、地政学的不確実性、物流コストや人件費の上昇などがあるという。
Supplyframeの最高経営責任者(CEO)兼創業者であるSteve Flagg氏は、8月11日に発表したプレスリリースの中で、「電子部品のサプライチェーンは改善しているが、改善のペースは緩やかで、ばらつきがある」と述べている。「多層的な電子部品サプライチェーンは、複雑でボラティリティーの高い環境に置かれており、常に進化を続ける予測困難な出来事が、生産能力や、コストや、リードタイムなどをはじめとするさまざまな検討事項に影響を及ぼし続けている。さまざまな制約や品不足は、今も継続している。また、在庫の不均衡是正と電子部品市場の調整が進んでいる」
Supplyframeが四半期ごとに発表しているレポート「Commodity Intelligence Quarterly」の第3四半期版では、全電子部品のリードタイムのうち52%が、第3四半期中に減少するか安定化すると予想している。これは一部の電子部品のリードタイムが短縮され、価格が安定し、需要が減少することを意味する。コンデンサーとレジスターの需要は、前期比で12%縮小した。6月の世界的な需要は、記録的な4%の増大を見せた前月と比べ11%減少し、アジア太平洋地域では11%減、欧州・中東・アフリカ地域では14%減となった。メモリーの需要は第1四半期から第2四半期にかけて6%減少しており、第3四半期にも2%減少すると予想されている。
サプライチェーンにおける需要の縮小は、製品の入手可能性の増大、価格の下落と相関しており、消費者向け電気製品や耐久財に影響を及ぼす。一方で需要が拡大している分野もあり、プログラマブルロジックデバイスの需要は前期比で9%増加した。
Flagg氏は、「さまざまなことで臨機応変な対応が必要になっており、メーカーにはレジリエンスを高めることが求められている」と述べている。「そのためには、電子部品に依存する機器のメーカーが、新製品を設計する際に、製品ライフサイクルの後の段階に影響を与える可能性がある意思決定に新たな形態のインテリジェンスを用いていく必要がある」
これらのことはすべて、最終消費者にとっては、トンネルの先に多少の光が見えてきたことを意味している。最近ではインフレが収まりつつある初期の兆候が現れており、7月の物価はおおむね横ばいだった。需要の縮小とさまざまな製品カテゴリーのサプライチェーンにおける緊張の緩和が相まって、2023年には市場が一定程度正常化することを示す兆候が現れているようだ。