「Everything as a Service」を実現したHPEに待ち受ける試練とは
今回は「「Everything as a Service」を実現したHPEに待ち受ける試練とは」についてご紹介します。
関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米HPE EVP 兼 GM HPE GreenLakeクラウドサービス コマーシャルビジネス担当のKeith White氏と、IIJ 代表取締役社長の勝栄二郎氏の発言を紹介する。
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)日本法人の日本ヒューレット・パッカードは先頃、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する戦略的サービス「HPE GreenLake」の強化についてオンラインで記者説明会を開いた。冒頭の発言は、この会見にビデオメッセージを寄せた米HPEの同サービス事業責任者でEVP(エグゼクティブバイスプレジデント) 兼 GM(ゼネラルマネージャー)を務めるKeith White(キース・ホワイト)氏が、同社の最高経営責任者(CEO)であるAntonio Neri(アントニオ・ネリ)氏の発言を引用して述べたものである。
今回の会見は、HPEが6月下旬に米国ラスベガスで開催したプライベートイベント「HPE Discover 2022 Las Vegas」で発表された内容を説明したもの。同イベントのキーノートでは、2019年に「2022年末までに全てをサービスで提供する『Everything as a Service企業』になる」ことを約束していたNeri氏が、HPE GreenLakeによってその目標を達成できたことを宣言した。会見の内容については速報記事をご覧いただくとして、ここではWhite氏の発言に注目したい。同氏が冒頭のように述べたのは、Neri氏が目標達成の宣言に続けて話したことを引用したものである(写真1)。
改めて、HPE GreenLakeとは「HPEのハードウェアを顧客が指定する場所に設置し、使用したITリソースに応じて従量制で課金するサービス」のことである。オンプレミスでありながらクラウドのように変化に対応したシステム基盤を、初期コストを抑えて導入することができるのが特長だ。
White氏はビデオメッセージの中で、「HPE GreenLake によって、私たちはオンプレミス、データセンター、コロケーション、エッジなど、お客さまが必要とする場所でモダンなクラウドエクスペリエンスを提供できるようになった。また、お客さまは膨大なワークロードや業種向けソリューションが稼働する環境をハイブリッドクラウド環境に展開、構築して、ビジネス全体で一貫したエクスペリエンスを得ることが可能になった」と、HPE GreenLakeのユーザーメリットを強調した。
ただ、HPE GreenLakeによって全てをサービスで提供できるようになったものの、この事業はHPE全体の業績からすると、まだほんの一部にしかすぎないと推察される。決算によると、同事業の受注はこのところ3四半期連続で倍増の勢いで、ここ数年で業績に占める割合も増えていくとみられるが、そうなってくると気になるのが、これまでの製品販売主体からクラウドサービスと同様の売上計上への変更に伴う「業績の落ち込み」をどうカバーしていくかだ。
「クラウドの谷」とも言われるこの現象は、パッケージからクラウドサービスに移行したソフトウェアベンダーの大半が経験してきたことだが、これからはサービスモデルへの転換を図っているHPEなどのハードウェアベンダーが立ち向かうことになる。「進化の次のフェーズ」に訪れるその動向を注視していきたい。