「生成系AIはBIを補完する」–Qlik CEOが語るアクティブインテリジェンスとTalend買収

今回は「「生成系AIはBIを補完する」–Qlik CEOが語るアクティブインテリジェンスとTalend買収」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、トップインタビュー等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ビジネスインテリジェンス(BI)ツールベンダーの中でも、Qlikは異色な存在だ。1993年にスウェーデンで創業し、独立系ベンダーとして事業を展開している。同社は4月17~20日に米国ラスベガスで年次ベント「QlikWorld 2023」を開催した。最高経営責任者(CEO)のMike Capone氏に、同社が掲げる「アクティブインテリジェンス」や1月に発表されたTalend買収の狙い、ジェネレーティブAI(生成系AI)がBIに与える影響などについて現地で聞いた。

–アクティブインテリジェンスを中心としたQlikの戦略を教えてください。

 アクティブインテリジェンスは、最新のアナリティクス基盤にデータをリアルタイムに流し込み、そこから迅速な意思決定やアクション(行動)につなげるというコンセプトになる。Qlikは現在、これを実現するデータ統合ツールとデータ分析基盤を提供している。

 例えば、運用中のシステムから抽出したデータを「Snowflake」や「Databricks」などに取り込み、分析技術を用いて洞察を得ることができる。その洞察から、販売価格の変更やシステムの更新、CRM(顧客関係)のチケット発行といったアクションの提案や強制が可能になる。

 Qlikは創業から30年になるが、当時からの顧客も、最近のDXブームで加わった顧客も、当社のプラットフォームを活用してアクションにつなげ、価値を引き出している。

–Talend買収の意向を発表しています。この買収がQlikと顧客にもたらすものは?

 Talendはデータ統合技術を提供するベンダーで、さまざまなソースからデータを移動・変換し、分析に適したフォーマットにできる。Qlikとの親和性は高く、共通の顧客も多い。データの品質や一貫性、信頼性を測定・評価するツールもある。

 Talendのプラットフォームとは、わずかだが重複する部分がある。しかし、概して両社の技術は補完的だ。顧客はより簡単かつ効果的にデータの変換作業ができるだろう。アクティブインテリジェンスを実現するためのソリューションをエンドツーエンドで届けられる。

 データは増える一方にあるが、さまざまなところに分散している。Qlikはデータをクラウドにストリーミングする機能を持つが、データの信頼性やビジネスですぐに活用できる“ビジネスレディー”かどうかは大きな課題となっている。そのためのソリューションをTalendと共に提供していきたい。

 また、顧客はさまざまなデータ分析ツールを組み合わせている。複数の技術を使うことでフラストレーションを感じているなら、Qlikのプラットフォームでそろえることもできるし、単独ベンダーで全てをそろえるのに抵抗があるなら、これまで通り他ベンダーの技術を使い続けられる。Qlikのプラットフォームはオープンであり、さまざまな使い方に柔軟に対応できる。

 Talendの買収は今四半期中には完了すると見込んでいる。

–SaaSの「Qlik Cloud」を2年前に発表しました。顧客の受け入れ状況はどうですか?

 順調だ。クラウド事業は大きな成功を収めており、この1年で2倍以上の成長となった。今後も、同じようなスピードで成長すると予想している。

 クラウドのメリットは、すぐに価値を得られること。ハードウェアやインフラについて気にする必要はない。また、最新の機能を活用できる。例として、アラート機能や「Qlik AutoML」がある。Qlik AutoMLは、2021年に買収したBig Squidの技術をベースとしており、クラウド上で機械学習モデルを自動で構築・実行できる。

 AIや機械学習はわれわれの注力分野であり、今後も新しい機能を届けていく。

–生成系AIが話題です。この技術はBIにどのような影響を与えると予想しますか?

 BIを補完するものになると見ている。われわれの強みはデータの収集と分析。生成系AIは膨大な量のデータを使ってモデルを訓練している。考えようによっては、われわれが生成系AIの土台を整えていると見ることもできる。OpenAIが提供する対話型AI「ChatGPT」をQlikのプラットフォームに統合して活用している顧客もいる。

 ChatGPTなどのツールに自社のデータを使うのを企業が許可するとは考えにくい。データ分析で洞察を得たり、複雑なことをしたい時はQlikのようなツールを活用し、その洞察をストーリーにする部分で生成系AIを利用したりすることも考えられる。

–日本市場でのデータ活用やQlikの位置付けをどう見ていますか?

 日本市場には大きな期待を寄せている。富士通や本田技研工業のような大型の事例が出てきており、勢いを感じている。日本の顧客はデータリテラシーが高く、アナリティクスから価値を引き出そうとしている。

 クラウド移行という点でBIはこれまで遅れていたが、現在は急速に進展している。われわれはAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloudなどのハイパースケーラーと協業しており、顧客が望む形でデータを活用できるように支援していく。

 日本の企業にQlikの魅力を広く知ってもらいたいし、既存顧客にももっと活用してもらいたい。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
Microsoft、Xboxのクラウドゲーム(Project xCloud)のiOSとPC向けβテスト開始
アプリ・Web
2021-04-21 10:29
物流業界向けクラウドのHacobuが9.4億円調達、業界初のビッグデータ・ガバナンス体制立ち上げ
モビリティ
2021-04-20 07:43
KDDI、Microsoft 365ヘルプデスクを提供–グループ会社のノウハウ活用
IT関連
2024-11-13 11:22
続、Publickeyが受けたDoS攻撃、これまでの経緯と対策まとめ
Cloudflare
2024-03-21 01:57
次世代の月面探査車をGMとロッキード・マーティンが共同で開発中
宇宙
2021-05-28 04:27
アップル、Windowsユーザー向けのChrome拡張機能「iCloudパスワード」を提供
IT関連
2021-02-02 12:57
その流行を裏づける仮想市場の投資家向け金融サービス「BlockFi」が381億円調達、評価額は3300億円
ブロックチェーン
2021-03-29 18:23
テスト自動化のために作られたIDE「Aqua」、JetBrainsが正式公開。Webインスペクタ、HTTPクライアント、テストランナー、デバッガーなど統合。個人向けは無料
ソフトウェアテスト・品質
2024-05-21 22:47
KDDIがバーチャル人間「coh」発表、5Gの超低遅延技術を活用したリアルタイムクラウドレンダリング採用
VR / AR / MR
2021-03-12 21:09
マイクロソフトの「クラウドPC」こと「Windows 365」の無料トライアルが申し込み殺到で一時受付停止
ネットサービス
2021-08-07 14:41
Instagramが全ユーザーへ「セキュリティの確認」を通知 数カ月以内に案内
企業・業界動向
2021-07-15 17:14
AWS、LinuxからAmazon S3をファイルシステムとしてマウントし利用できる「Mountpoint for Amazon S3」正式公開
AWS
2023-08-17 12:12
25年度中のFAX利用廃止に小中教員の半数以上が賛成–アドビ調査
IT関連
2024-04-27 04:39
米国スタートアップの日本進出を支援するSIPグローバルパートナーズが164億円のファンドの一次募集を完了
VC / エンジェル
2021-03-16 08:21