脱「Excel」の経営管理DXでスピーディーな意思決定(後編)
今回は「脱「Excel」の経営管理DXでスピーディーな意思決定(後編)」についてご紹介します。
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経営管理領域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する今回の連載では、前編で経営管理DXの現状について触れるとともに、経営管理をExcelで実施することの問題の一つ目として「多人数での集計に適していない」ことをご紹介しました。後編となる今回は、引き続き「Excel」管理における問題についてご紹介するとともに、Excelで実施すべき点についても解説していきます。
経営管理におけるExcelの別の問題点として、時系列の把握が難しいことが挙げられます。予算策定を例に取ると、期末に次年度の予算策定を実施しますが、管理部門が音頭をとって事業部から予算の素案を集め、全体の数値を確認・協議し、事業部が修正案を再度出すといったプロセスが多いかと思います。
とはいえ、一往復で最終予算が確定することは多くなく、基本的には何度も数値の修正を繰り返すことになります。しかし、どのような経緯をたどって最新の数値が出来上がったのかを後から確認・分析しようとすると、策定過程のファイルが残っておらず、なぜこの数字になっているのか分からないといった問題が発生します。よって、時系列でどのような修正が施されていたのか把握するため、ファイルを都度保存しておく必要があります。
一方、修正を繰り返すたびにファイルが増殖し、最新版のファイルがどれか分からなくなるといった問題もよく発生します。その場合、部門間で会話する際の前提として見ている数値が違っていた、最終報告としてマネジメントの報告する数値が最終版ではなかった、ということが起こりかねません。
また、時系列できちんと保存できていたとしても、いざそれらを比較したいーー例えば、初期のドラフト予算と確定版を比較したい場合、それぞれのファイルから関数を活用して数字を集計する必要がありますが、その集計過程でミスが起きてしまうこともあり得ます。
クラウド型の経営管理システムにおいては、常に最新の数値が集計されるため、バージョン管理は不要となり、議論の前提がずれているといったミスを防ぐことが可能です。また、バージョン同士の比較についても、該当バージョンを選択するというように数クリックで済むことになるので、比較のたびにExcelを駆使して集計する負荷も軽減されます。
最後にデータが散逸するという問題に触れたいと思います。経営管理を実行する上で、必要となるデータは多岐にわたります。例えば、販売管理システムからの売り上げ/取引先情報、財務システムからの会計情報、人事システムからの人員情報などが該当するでしょう。これらを明細の粒度で一つのExcelファイルに格納することは困難であり、多くの場合は各種システムからの出力を中間Excelで(場合によっては複数回)加工し、最終的な統合Excelへ記入していることも多いかと思います。
その場合に手間なのは、加工もさることながら、統合Excelからさらに詳細な分析をする場合、当該Excelに明細データがないため、中間Excelをさかのぼる必要があることです。