Lightbendのライセンス変更はオープンソースを使ったおとり商法か、賢い判断か

今回は「Lightbendのライセンス変更はオープンソースを使ったおとり商法か、賢い判断か」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 オープンソースビジネスストラテジストとして有名なV. M. “Vicky” Brasseur氏は、「オープンソースはビジネスモデルではない」と述べている。むしろ、オープンソースは、さまざまなビジネスモデルの一部として使えるソフトウェア開発モデルだと言うべきだ。それでも、オープンソースを柱にした企業が、収益が振るわない理由をオープンソースのせいにすることを止められるわけではない。そのような行動に出た企業の最新の例が、Javaの重要なオープンソースミドルウェアである「Akka」を生み出したLightbendだ。Lightbendは、AkkaのApacheライセンスを取り下げて、オープンではないライセンスである「Business Source Licence(BSL)1.1」を採用することを決定した。

 もし読者がJavaの開発者でなければ、おそらくAkkaについて聞いたことはないだろう。Akkaは、「Java Virtual Machine(JVM)」で高度な並列性・分散性・耐障害性を備えたシステムを構築するためのオープンソースのミドルウェアだ。AkkaはScalaとJavaのAPIを持っており、これを使えば、規模をPC規模からクラウドアプリケーション規模まで拡張可能な、スケーラブルで耐障害性の高いソフトウェアを簡単に構築することができる。誰であっても、Akkaを使っている企業のリストを見れば、おそらく知っている企業の名前があるはずだ。その中には、Apple、Disney、General Motors(GM)、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Starbucks、Teslaなどが含まれている。

 しかし、Lightbendの最高経営責任者(CEO)であり、プロジェクトの創設者でもあるJonas Bonér氏は、これらの大企業は正当な対価を払っていないと主張している。Bonér氏はそれを理由に、AkkaのライセンスをBSL 1.1に切り替えようとしている。同氏は、「最初にAkkaのライセンスとしてApache 2.0ライセンスを選択したときには、その選択がAkkaが大規模でグローバルなプロジェクトになったときに及ぼす影響を認識していなかった」と述べている。

 「Apache 2.0は非常に自由なライセンスであり、初期段階にある小規模なオープンソースプロジェクトがコミュニティーを確立するのには適している。しかしこのライセンスは、基本的にユーザーに一切の制限を与えておらず、自分たちが恩恵を受けているコミュニティーやプロジェクトに貢献する義務なしに、何でも好きなことができる権利を与えている」とBonér氏は言う。

 筆者にしてみれば、「それがオープンソースライセンスであり、それが最も肝心な点だ」と言うしかない。

 しかしBonér氏は、今になって「オープンソースライセンスはビジネスモデルではない」と気づいたようだ。新しいライセンスでは、「ソフトウェアの商業利用には商用ライセンスが必要となる。商用ライセンスは、初期段階の企業(年間売上高2500万ドル未満)には無料で提供される」という一方で、大企業は1コアあたり年間1995ドル(約29万円)または1295ドル(約19万円)のライセンス料を請求されるようになる。

 オープンソース界のほかのコミュニティーや企業は、この動きに非常に批判的だ。オープンソースデータベース企業であるPerconaのCEOで共同創業者のPeter Zaitsev氏は、Lightbendのライセンス変更は、オープンソースを使ったおとり商法にあたるとすぐさま宣言した。

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