ニュータニックス、DataRobot、日立システムズが連携–オンプレ生成AIソリューションの実現へ
今回は「ニュータニックス、DataRobot、日立システムズが連携–オンプレ生成AIソリューションの実現へ」についてご紹介します。
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ニュータニックス・ジャパン、DataRobot Japan、日立システムズは、AI関連サービスの開発プロセス効率化に向けたパートナーシップを発表した。「Nutanix GPT-in-a-Box 2.0」と「DataRobot AI Platform」を組み合わせ、日立システムズがコンサルティング、両サービスの実装と運用、データ活用の効率化などをサポートする。
現在のAI環境はクラウドベースで展開されているが、データをクラウドに出したくないエンタープライズユーザーからはオンプレミスで運用できるAIプラットフォームが望まれていることに対応する。
Nutanixの事業方針を説明した米Nutanix 最高収益責任者(CRO)のAndrew Brinded(アンドリュー・ブリンデッド)氏は、今回の来日に際して京都の観光プランについてAIに尋ねたところ、家族が観光ガイドを読みながら数時間掛けて作成したものと同等のプランが数分で回答したというエピソードを紹介し、「AIが世界全体に破壊的な変化をもたらしている」と強調した。
一方、現在の主要なAIサービスはクラウドベースで提供されている点がエンタープライズユーザーにとっては懸案となっている。インターネット上で収集できるデータだけを学習させたAIでは十分な価値を引き出せないが、企業内に蓄積されたデータを学習させたくてもデータをクラウドに出したくはないためだ。Brinded氏は、現在同社が注力するエンタープライズ向けAIソリューションであるGPT-in-a-Box 2.0によって、データのセキュリティとAIによる生産性向上を両立できるという(図1)。
Nutanixは、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)の提供からスタートし、仮想マシンに加えてコンテナープラットフォームのサポートを充実させることで、モダンアプリケーションのためのプラットフォームという役割も担ってきた。現在はAIソリューションを含め、3つの注力領域で事業を展開している。
Brinded氏によると、HCIという形でプライベートクラウドやハイブリッド/マルチクラウドを実現したのが「第1の波」、仮想マシン(VM)とコンテナーの両方をサポートし、開発者が一度書いたアプリケーションコードをどこでも実行できるようにしたのが「第2の波」という。「第3の波」が導く未来の姿として、同氏は「コンテナーベースのモダンアプリケーションとエンタープライズAIの組み合わせ」を挙げ、「これがNutanixの未来だ」と強調した。
Brinded氏は、2023年末に完了したBroadcomによるVMware買収の影響について「買収によってVMwareの価格戦略が変更されたことで多くのユーザー企業が不安を感じた」と指摘。同社がこれまで15年にわたる仮想化プラットフォームの提供経験を有し、かつVMwareユーザーからの乗り換えを多数受け入れてきた実績があるとした上で、「顧客に長期的な価値を提供し、透明性のある価格体系を実現している。VMware買収という荒波に飲まれてしまった顧客に対する平穏な避難所となり、将来を見通せるようにする」と語った。
NutanixのAIに対する取り組みの国内における具体的な進捗(しんちょく)といえるのが、DataRobotおよび日立システムズとの3社の連携だ。DataRobotはNutanixがグローバルで展開するAIパートナーエコシステムの一社として名前が挙がっており、日立システムズはNutanixとDataRobotのそれぞれとパートナーシップを構築していたという経緯から、日立システムズが日本初の「Nutanix AIコンサルティング&データサービス パートナー」となり、ソリューション全体にわたる支援が可能となる(図2)。
DataRobot Japan 日本法人カントリーマネージャーの馬場道生氏は、DataRobotについて「AIに必要となるデータを準備すること。そして、AIモデルの実験、開発、評価を高速に行える。さらに、AIの運用と監視、継続的な最適化を一つのプラットフォーム上で、高い自動化テクノロジーと高い説明可能性をもって提供する」と説明し、「最新のDataRobotがNutanixのセキュアな基盤として統合され、日立システムズのマネージドサービスとして提供される。世界的にも先進的なプロジェクトであると考えており、楽しみにしている」と語った。
DataRobotは、GPT in-a-Box 2.0の構成要素「Nutanix Kubernetes Platform」上でネイティブに稼働するため、「クラウドでAIの開発/運用するのと変わらないレベルでAIプロジェクトを進められるようになった」という。
日立システムズ 産業・流通事業グループ 業務役員の大江伸登氏は2017年にNutanixのリセラーとなり、2018年からはNutanixの自営保守を提供していることや、2020年にDataRobotの認定パートナーとなったことを紹介した上で、「安定したシステムの実行環境を提供するという今までのビジネスに加え、データサイエンティストによるデータマネジメントの提供や、お客さまのさまざまな課題を解決するAI活用のユースケースを作る。お客さまに伴走しながら業務改革や効率化につながるビジネスプロセスの変革を提案し、その効果を可視化するなど、AIを活用したビジネスのためのサービスを今後展開したい」と語った。
AIシステムをオンプレミスで動かしたいというニーズに対し、HCIベースのプラットフォームを活用するのは将来的な演算負荷やデータ量の増減に対応するための柔軟性の高さなどが期待でき、良い選択肢だといえそうだ。Nutanix自身が「Nutanix Enterprise AI」として用意するコンポーネントに加えてDataRobotのような関連ソリューションを組み合わせてパッケージ化し、コンサルティングやサービスまで組み合わせて提供する今回の取り組みを歓迎するエンタープライズユーザーは多いのではないか。