Snowflake、マーケットプレイスの国内展開を本格化–国内7社がデータ提供に参画

今回は「Snowflake、マーケットプレイスの国内展開を本格化–国内7社がデータ提供に参画」についてご紹介します。

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 Snowflakeは10月24日、「Snowflake マーケットプレイス」に関する事業戦略を説明するとともに、マーケットプレイス上でデータを提供する国内企業7社を発表した。

 同社 社長執行役員の東條英俊氏は同日の記者会見で、「Snowflakeは設立して10年、日本法人は3年になる。まだ歴史の浅い会社だが、多くの顧客を得て十分な手ごたえを感じている。テクノロジーによるイノベーションを続けており、製品のポートフォリオも広がっている。今後も従業員の増加や顧客範囲の拡大、パートナーとの関係強化を図っていく」と語った。

 Snowflakeでは「データクラウド」をグローバルで推進している。これは、同社の顧客同士が互いに保有するデータを結び付けることによって、データの共有が広がっていくというもの。東條氏によると、データクラウド上で顧客が保有するデータ同士の結びつきを示す「ステーブルエッジ」は、2020会計年度が373件だったのに対し、2021会計年度は674件、2022会計年度は1550件と急速に成長しているという。ちなみに、データ同士の結び付きが有効になり、最低6週間にわたって継続的に共有されている状態で、1件に計上される。

 Snowflake マーケットプレイスは、同社が提供するデータプラットフォームのデータ共有機能を基盤とすることで、データサイエンスやビジネスインテリジェンス(BI)、分析の専門家に対するライブデータやデータサービスを提供する。同社の顧客であれば誰でもデータを登録でき、グローバルのデータクラウドの中でデータを共有できる。「国内で閉じておくこともできる」と東條氏は話す。現在はグローバルで260社以上のデータプロバイダーがデータを提供しているという(図1に一部抜粋)。

 「(Snowflake マーケットプレイスを)国内でも展開していきたい。日本でもデータプロバイダーになれる企業は多くあると見ており、数千ではとどまらない規模になる」(東條氏)

 今回、Snowflake マーケットプレイスでデータの提供を開始する国内企業として、東芝テック、インテージ、Tangerine、xMAP、エム・データ、メディカル・データ・ビジョン、QUICKの7社が紹介された。

 東芝テックはデータプロバイダーとして、消費者の再来店を促進するクーポンサービス「テッククーポンデリ」を通じて小売業より了承を得たPOSパネルデータを統計処理し、小売店舗名を匿名加工した上で地域データとして提供する。今回のトライアルでは、一部地域に限定したデータを用いて、日別、時間帯別、JANコード別に統計加工し、店頭での販売発生後から約1時間以内にSnowflakeのデータを更新し、マーケットプレイスにおいて情報取得可能とすることで、ライブデータの活用策を検討していく。

 インテージは、同社が独自に収集整備した、店舗情報データベース「i-Store DB」と商品情報データベースのトライアルデータを提供する。i-Store DBには、「運営企業」「チェーン」「業態」「所在地に関する情報」「売場面積」「営業時間」「駐車場」「周辺居住者特性」などの項目情報が含まれ、取引先チェーンの街区や居住者特性など、店舗属性を使ってセグメント別に分析し、自社製品や自社店舗の売場の最適化などのインサイトを得ることができるという。

 商品情報データベースには、GTIN(Global Trade Item Number、日本ではJANコードと呼ばれる)ごとに「商品名」「商品分類」「容量」などの項目情報が含まれ、食品・飲料・アルコール・雑貨・化粧品・OTC医薬品などをカバーする。自社のマスター情報管理、話題の商品やシーズンに合わせた店舗売り場の提案や企画などのインサイトを得られるとしている。

 Tangerineは、同社が提供する来店分析・顧客エンゲージメントプラットフォーム「Store360」が保有するデータをマーケットプレイスに公開。これまでの懸念事項であったデータ連携、データ活用、コスト削減を実現させた。また、自社アプリにTangerineのソフトウェア開発キット(SDK)を導入することで、アプリユーザーのリアル店舗への来店計測を可能にし、当該データをマーケットプレイスを通じて、Snowflakeに保有する顧客の会員情報基盤、IDPOSデータなどの社内データとシームレスに統合・分析できるようになった。

 xMAPは、日本全国の飲食店業界のメタデータ「ロケーションデータ」を提供する企業。同社がマーケットプレイスで提供するロケーションデータには、全国の飲食店の位置情報、名称、提供する飲食のカテゴリー、席数、デリバリーサービスの有無、スーパー、コンビニエンスストアなどの店舗情報、駅や交通機関情報、広告看板設置データ、飲食店を含む店舗情報、性別や年齢などの人口データなどが含まれる。飲食店の周辺の駅などの交通機関・店舗出店状況・人口の分布などから候補地選定、ターゲット顧客や来店予測などを行えるようになる。また飲食店などに商品やサービスを提供する食品、飲料、小売、サービス、投資・コンサルティング業界などの企業側も、ロケーションデータを活用することで新たな商品やサービスの開発、販売、マーケティング施策の立案などが可能になる。

 エム・データは、テレビの放送内容をテキスト化した「TVメタデータ」をマーケットプレイスに公開した。これによってSnowflakeの顧客はTVメタデータにアクセスできるようになり、テレビCMやテレビ番組の露出効果分析や、テレビ露出による需要・商品トレンドなどのさまざまな予測、株価変動シグナル検知、メディアプランニングや戦略立案、マーケティング業務でデータ活用が容易になるとしている。

 メディカル・データ・ビジョンは、同社が保有するリアルワールドデータ(RWD)をマーケットプレイスに公開した。同社は、医療情報のネットワーク化を推進しており、同社が保有する大規模診療データベースは4000万人を超える。同社が保有する、病院診療データベース、健保組合レセプトデータベースなどのRWDは、これまでは日本国内の臨床研究に提供されていた。

 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、海外に拠点を持つ外資系製薬会社との臨床研究が加速する中、従来のデータ活用基盤では、外資系製薬会社との共有に時間やコストが発生し円滑に臨床研究を進めることが難しい状況だった。そこで同社は、マーケットプレイスに同社のRWDを公開することで、日本国内外場所を問わず、いつでもどこからでもこれらのデータベースにアクセスすることができる環境を構築した。

 QUICKは、自社が運営する金融マーケットデータのシェアリングサービスをマーケットプレイスで開始。投資に活用できるさまざまなデータをウェブサイトで販売する新サービス「QUICK Data Factory」が保有する金融データセットをマーケットプレイス上に展開することで、金融機関、公共機関、企業の顧客が自社のデータとQUICKの金融データと掛け合わせて分析し、より良い経営判断のための新たなインサイトを得ることができるようになるとしている。今後は金融データセットだけではなく、オルタナティブデータ(経済統計や財務情報とは異なる非伝統的なデータ)の取り扱いや、特定の顧客のみにプライベートなデータシェアリングの取り組みも予定している。

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