Dropbox Japan、製品ポートフォリオの拡張を強化–2023年度の事業戦略を説明
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クラウドファイルストレージサービスを提供するDropboxの日本法人Dropbox Japanは11月16日、2023年度の事業戦略説明会を開催した。
直近のビジネス状況として、2021年の全世界での売上高は3237億円。クラウドストレージ専業ベンダーとしては世界最大規模と代表取締役社長の梅田成二氏は述べる。日本でのビジネスは世界での成長率を上回るスピードであり、収益構造としては北米中心ながらも、日本を含むインターナショナル市場の成長が期待されているという。フリーキャッシュフロー(FCF)は1062億円で、次の成⻑に向けた製品ラインの拡張に充てられていると同氏は説明する。
「Dropbox」上に保存されているコンテンツ数は8000億、個人向け・法人向けを合わせた有料ユーザー数は1755万。Dropboxを仕事で使っているユーザーの割合は80%で「Dropboxはコンシューマー向けというイメージが強いが、仕事で使っているユーザーが過半数」(梅田氏)
「スマートな働き方を創造する」をミッションとして掲げる日本法人は、2022年の目標を「現場力上がる、使えるデジタル」と定め、現場の声を大事にし、聞くことを決めたという。優先事項として「コンプライアンス対応」「製品ポートフォリオの拡張」「他社ソリューションとの連携強化」「新しい働き方の提案と実践」を挙げていた。
デジタル化が進む海外では、オンプレミスのサーバーからクラウドストレージへの移行がかなり進み、「主戦場はクラウドストレージから、電子署名やインサイト分析といったドキュメントワークフローの前後の部分。日本はファイルサーバーやNASなどハードウェアのストレージにデータを蓄えるのがまだまだ主流。ただ、これも欧米と同じように変わってくる」(梅田氏)。そのため、製品ポートフォリオの拡張と他社ソリューションとの連携強化を優先事項に含めているという。
2021年7月に代表取締役社長に就任した梅田氏は1年を振り返り、2022年の成果としてさまざま現場での利用拡大が進んだことを挙げ、3次元コンピュータ支援設計(3DCAD)の設計データ、写真、契約書など140TBを超えるデータを一元管理していている東急建設、BIMや3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)などの大容量データの共有や共同編集をグローバル規模で可能にした隈研吾建築都市設計事務所、誤って削除したファイルをユーザー自らが巻き戻し機能により復旧してIT部門の負荷軽減につながった食品メーカーはくばくなどの事例を紹介した。
他社ソリューションとの連携については、ブレインズテクノロジーのエンタープライズサーチ「Neuron」、mxHeroのメールセキュリティサービス「Mail2Cloud」、エムティーアイのファイルマネジメントツール「PlusFind」などについて言及した。
新しい働き方の提案と実践としては、2020年に「Virtual First」として新しい働き方を掲げて取り組みを進めてきた同社だが、社内調査では高い満足度が得られているという。得られた知見や学びは、リスキリングに官民一体で取り組む日本リスキリングコンソーシアムに参画し、広く社外に公開することを開始している。
コンプライアンス対応については、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)の登録申請の準備を進めているという。
今後強化すべき点として、梅田氏は、「バックアップなどのコア機能は向上した」と前置きした上で、製品ポートフォリオの拡張を挙げており、その一環として、ドキュメントワークフローを強化する製品「Dropbox Capture」「Dropbox DocSend」がある。
両製品の開発背景として、動画によるコミュニケーションの拡大があるとアジア太平洋・日本地域総括ソリューション本部長を務める岡崎隆之氏は説明する。Dropbox上に追加される動画ファイル数は数十億に達し、2019年から2020年での動画編集ファイルは50%増加し、リモートで働く際に生産性を妨げる要因として「ビデオ通話や会議が多すぎる」と同社調査で41%が回答している。「“常時オン”の文化では社員が燃え尽きてしまうため、あまり複雑すぎず、柔軟な仕事環境を実現するためのソリューションが必要と考えられる」(岡崎氏)