クラウド基盤はバランスが大事–AWSがインフラ技術の進化を説明
今回は「クラウド基盤はバランスが大事–AWSがインフラ技術の進化を説明」についてご紹介します。
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Amazon Web Services(AWS)は、年次イベント「re:Invent 2022」を米国時間11月28日~12月2日に米国ラスベガスで開催している。開催初日の夜は、複数ある基調講演の初回としてユーティリティーコンピューティング担当シニアバイスプレジデントのPeter DeSantis氏が登壇。同氏は、クラウドインフラにおけるバランスの重要性を説くとともに、これを支えるハードウェアやサービスの新たな進化を発表した。
社会のさまざまな領域に広がる新しいデジタルサービスを提供するインフラとしてのクラウドの存在感は高まる一方だ。講演の冒頭でDeSantis氏は、クラウドインフラに対する性能の向上、コストの削減、セキュリティの強化といったさまざまな要件に対し、それらのバランスを図りながらユーザーに応えていくことが同社の役割だと述べた。
その代表的な取り組みが、2017年に発表の「Nitro System」や2018年に発表したArmアーキテクチャーベースのプロセッサー「Graviton」シリーズになる。Nitro Systemは、「EC2」をはじめとするAWSのコンピューティングサービスを支えるハードウェアシステムであり、仮想化や暗号化などのハードウェア技術で高速化しつつ、AWSのあらゆるコードを実行する。これまで4世代にわたる進化を遂げており、まずDeSantis氏は最新の第5世代となる「AWS Nitro v5」と、これを用いた最新のEC2インスタンス「C7gn」を発表した。
Nitro v5は同日から一般提供(GA)、C7gnはプレビュー提供が開始された。Nitro v5では、トランザクション性能が2倍、メモリー性能が50%、PCIe帯域が2倍に向上され、遅延の30%改善や時間当たりの消費電力を40%削減するという。C7gnは、200Gbpsの帯域幅を持ちパケット処理性能を50%改善するとしている。DeSantis氏は、天気予報や生命科学、エンジニアリングなど上述の各種要件が高水準に求められる用途に適するだろうとした。
Gravitonは、2021年にリリースした最新の第3世代「Graviton3」で前世代より性能を25%向上させつつx86互換のインスタンスに比べて電力消費を60%改善した。今回はその改良版となる「Graviton 3E」とGraviton 3Eを用いた新インスタンス「HPC7g」の提供計画を明らかにした。Graviton 3Eで、例えば、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)における並列演算での処理性能がGraviton 3に比べて約35%高まるとし、HPC7gインスタンスは新プロセッサーの恩恵をHPC領域に提供するものになるという。
さらにDeSantis氏は、自社開発するこうしたハードウェアの能力がソフトウェアによって最適な形で引き出されているとも述べた。例えば、HPCや機械学習の高速処理のためにNitro Systemに実装している高速ネットワークインターフェースの「Elastic Fabric Adapter」(EFA)や「Scalable Reliable Datagram」(SRD)プロトコルなどがあるとした。これらを利用して多数のノードが相互接続された同社独自のネットワークトポロジーではパケットの損失が少なく低遅延で高スループットが特徴だとし、EC2やストレージサービスの「EBS」などを支えているとした。
DeSantis氏によれば、今後は大容量データへの高速アクセスが可能な「EBS io2」の全てのボリュームにSRDを適用して処理性能のさらなる向上を図るという。また、EC2の標準ネットワークインターフェース「Elastic Network Adapter」(ENA)でもSRDを使用可能な「ENA Express」の一般提供も発表した。