「HPE GreenLake」の動きからIT基盤を巡るベンダー間の主導権争いを読む
今回は「「HPE GreenLake」の動きからIT基盤を巡るベンダー間の主導権争いを読む」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)日本法人の日本ヒューレット・パッカードがこのほど、現在最も注力している従量課金型サービス「GreenLake」の最新状況について明らかにした。その内容を踏まえて、今後の企業向けIT基盤を巡るベンダー間の主導権争いについて筆者なりに読んでみる。
「GreenLake事業の売り上げがこの1年、グローバルで前年比68%増と急伸長した」
同社が先頃開いた事業戦略説明会で、代表執行役員社長の望月弘一氏はこう言って胸を張った。GreenLakeはHPEが手掛ける全ての製品を従量課金で提供するサービスで、これまでのフロー型からストック型へのビジネスモデルの転換となる。言い換えると、オンプレミスとクラウドを連携させたハイブリッドIT環境をパブリッククラウドサービスと同様の利用形態で提供するサービスである。
望月氏が言った「この1年」というのは、HPEの2022年度(2022年10月期)のことだ。全体の売り上げでも前年度比12%増と好調だったが、GreenLake事業はそれを大きく上回る伸びを示し、日本法人では全体の売り上げの2割超を占めるところまできた。この割合については「今後も増えていく」(望月氏)としており、ビジネスモデルの転換が着実に進みそうだ。
会見の内容は速報記事をご覧いただくとして、ここではまず筆者が注目した望月氏のGreenLakeに関する発言を取り上げよう。
「お客さまのハイブリッドITへの要望は非常に大きい。3年後を見据えて7割のお客さまがハイブリッドITを望んでいるとの調査結果もある」
こう語った望月氏は、その背景について図1を示しながら次のように述べた。
「あらゆる業種で必要となるミッションクリティカルな業務においては、データのガバナンスやセキュリティ、コンプライアンスなどの理由によって、オンプレミスからクラウドに移行できないケースが多々ある」
さらに、こう続けた。
「私たちが把握している実態では、ワークロードの7割がオンプレミス上にあり、パブリッククラウドに移行したのは3割というのが現状だ。今、お客さまが求めているのは、パブリッククラウドへの移行より、複数世代にまたがるオンプレミス環境をクラウドサービスと同様のエクスペリエンスで利用し、クラウドと連携させた形でデータを活用できるハイブリッドIT環境だ。その運用コストを最適化し、スピーディーなビジネスに対応できるIT基盤を提供していくのが、私たちの使命だ」
その使命を具現化するのが、まさしくGreenLakeというわけだ。
今回の会見では、このGreenLakeがさらに進化し、サービス内容を大幅に拡充したことも強調していた(図2)。