アカマイが事業戦略を強化–CDNとセキュリティにエッジIaaSを加える
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Akamai Technologiesは3月2日、都内で2023年の事業戦略を発表した。最高経営責任者(CEO)のTom Leighton氏ら首脳陣が来日し、祖業のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)と主力のセキュリティサービスに、2月に開始したエッジクラウドコンピューティング「Akamai Connected Cloud」を加えた3領域に強化する。
同社は、2023年で創業25年を迎える。創業メンバーで米マサチューセッツ工科大学の教授でもあるLeighton氏は、CDNの生みの親として知られる。創業した1998年当時は、インターネットの情報処理の仕組みが中央集権的であり、ユーザーが拡大する中ではいずれその仕組みがボトルネックになり、よりユーザーの所在地に近い場所で情報処理を行う「エッジ」の方が効率的で使い勝手や性能などの面も優れるとの考えからCDNの仕組みを開発した。
事業戦略説明会でLeighton氏は、「スケーラビリティー、パフォーマンス、効率性や安全性に優れたCDNを25年間提供し続けており、(市場調査会社の評価を引用して)今なおリーダー企業である。今後も世界トップクラスのサービスを提供し続ける」と述べた。
CDNサービスでは、動画像などのコンテンツデータ以外にも業務用を含むウェブアプリケーション配信も手がけるが、現在の収益の多くを占めるというセキュリティサービスは、ウェブアプリケーションを保護するファイアウォール(WAF)を中心に、ボット対策やユーザーアカウント保護、また、セッションの乗っ取り防止などに機能を拡張。2022年からは買収したGuardicoreをベースとするマイクロセグメンテーションの「Akamai Guardicore Segmentation」も開始している。
事業戦略の3つ目の柱に位置づけるAkamai Connected Cloudは、2022年に買収したIaaSプラットフォームプロバイダーのLinodeをベースとして、世界4200カ所以上で展開するAkamaiのエッジ拠点から仮想マシンやコンテナー、Kubernetes、データベースなどのファンクション・アズ・ア・サービスの機能をIaaSとして提供する。
Leighton氏は、これについて「開発者フレンドリーであり、コスト効率に優れた透明性の高いサービスだ。企業利用に耐える高品質なサービスをユーザーに近い場所から提供する」とした。ここでは元来、上述のCDNでOracleなどのJavaアプリケーションをサポートしてきた経緯もあり、近年はクラウドの大規模データセンターによる情報処理をデータの発生源に近いエッジに分散させるエッジコンピューティング需要が高まっていることから、同社もこの分野に進出した格好になる。
Leighton氏は、特にクラウドの大規模データセンターとエッジの間のデータ転送コストの高まりがユーザーに負担を強いていると指摘。同社のインフラにIaaSを組み合わせることで、高品質ながらハイパースケーラーよりもコストを安価できると、競合優位性をアピールした。
説明会には、エグゼクティブバイスプレジデント(EVP) 最高マーケティング責任者のKim Salem-Jackson氏と、EVP グローバルセールス・サービス担当のPaul Joseph氏も登壇。Salem-Jackson氏は、Akamai Connected Cloudについて「ユニークなクラウドコンピューティングのオファーリングであり、Akamaiはクラウド市場のプレーヤーとして進出することになる」と表明。Joseph氏は、日本法人のアカマイ・テクノロジーズも2023年に20周年を迎えることから、「日本は重要な市場であり続けており、これから日本への投資を続けていく」などと話した。
アカマイ・テクノロジーズ 職務執行者社長の日隈寛和氏は、2023年の事業戦略について「キーワードは『コネクテッド』。今後あらゆるものがインターネットにつながり、そこでは分散処理が重要になる。Akamai Connected Cloudは新しい領域のサービスであり、これからさまざまな用途が登場していくと期待している」と述べた。
日隈氏が示した国内ビジネスの売上構成比によると、CDNなどの事業は2020年の59%から2022年が47%に、セキュリティ関連事業は37%から45%に変化。新たに加えたコンピューティング関連事業は5%から7%と微増だが、日隈氏は今後コンピューティング関連事業の拡大に注力していくとした。