激戦区のクラウドサービス市場に本格参入したAkamaiが弾く勝算とは
今回は「激戦区のクラウドサービス市場に本格参入したAkamaiが弾く勝算とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、Akamai Technologies CEOのTom Leighton氏と、iKala Japan カントリーマネージャーの土屋隆司氏の発言を紹介する。
米Akamai Technologies(以下、Akamai)の日本法人アカマイ・テクノロジーズは先頃、米国本社の首脳陣が来日したのを機にグローバルでの事業戦略について記者説明会を開いた。米国本社の最高経営責任者(CEO)であるTom Leighton(トム・レイトン)氏の冒頭の発言は、同社がこのほど本格参入したパブリッククラウドサービス市場での勝算について述べたものである。
Akamaiの共同創業者で米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授も務めてきたLeighton氏は、経営者であるとともに応用数学と分散コンピューティングの権威でもある。同社が始めたコンテンツ配信ネットワーク(CDN)の生みの親としても知られる。そんな同氏のリアルな会見とあって、多くの記者が会見場の日本法人オフォスに駆けつけた。
会見の内容は速報記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に注目したい。
Akamaiは2月、新たなパブリッククラウドサービス「Akamai Connected Cloud」を発表し、パブリッククラウドサービス市場に本格参入した。Akamai Connected Cloudは2022年に買収したIaaSベンダーのLinode(リノード)のリソースやノウハウを基に、世界4200カ所以上で展開するAkamaiのエッジ拠点から主に開発者向けの技術サービスを提供する。
Leighton氏はAkamai Connected Cloudについて、「業界をリードするソリューションを備えた、世界で最も分散された、パフォーマンスに優れたクラウドプラットフォームだ」と強調した一方で、「世界最大のクラウドではない。規模については、ハイパースケーラーのサービスの方が巨大なキャパシティーとスケーラビリティーを保有している」とも付け加えた。ハイパースケーラーのサービスとは、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)のことである(表1)。
目指す方向(ビジョン)としては、表2のように3点を挙げた。この中で3つ目の「ビジネスとユーザーがつながる場所の近くで、開発者フレンドリーな使いやすいコンピューティングを提供」というのが、最大のアドバンテージという印象だ。一方で、1つ目と2つ目の内容は競合サービスとの激しいバトルを勝ち抜く意思を示したとも受け取れる。
では、ハイパースケーラーのサービスとのバトルの勝算をどう弾いているのか。なぜ、この時期に本格参入したのか。会見の質疑応答でこう問われたLeighton氏は次のように答えた。
「Akamaiはハイパースケーラーのサービスが登場する以前から、分散されたエッジコンピューティングに取り組んできた。これまで(集中処理型の)パブリッククラウドが普及してきたが、ここにきてエッジコンピューティングに対するニーズが俄然高まってきている。なぜならば、さまざまところで求められるようになってきたリアルタイムな処理に対し、エッジを活用することで低いレイテンシー(遅延時間)を実現できるからだ。その意味で、参入時期はむしろ今が適切であり、(競合ひしめく)パブリッククラウドサービスでもう1つのオルタナティブな選択肢になれると確信している」
こう語ったLeighton氏の自信に満ちた表情が何とも印象的だった。