アクセンチュア・保科氏に聞く、ジェネレーティブAIのビジネス利用と潜在リスク
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米OpenAIが提供する対話型AI「ChatGPT」が注目を集めている。2022年11月の一般公開からわずか2カ月で月間アクティブユーザー数が1億人を突破したとも言われている。米Microsoftが「Bing」をはじめとする自社製品にAI技術を組み込むなど、ビジネス利用の動きが加速している。アクセンチュア 執行役員 AIセンター長の保科学世氏に、ジェネレーティブAI(生成AI)が持つビジネス利用の可能性と、企業か抱える潜在リスクについて聞いた。
保科氏はまず、ジェネレーティブAIや大規模言語モデル(LLM)が持つ可能性について「膨大なデータを処理できるLLMの能力は、言語を通じて伝えられるもの、つまり文書、メール、チャット、動画、音声などを取り込んで学習できる。これを使えば、企業がこれまで蓄積してきたビジネスや製品/サービスに関する知識・ノウハウ、マーケット情報、顧客データなどあらゆる情報を俯瞰して捉え、理解するポテンシャルを持っている」と話す。
さらに同氏は、「ジェネレーティブAIはホワイトカラーの業務のあらゆる場面に組み込まれ、業務を強力に支援する時代に突入した」と主張する。現在、ジェネレーティブAIは画像・文章・コードの自動生成、翻訳、要約、検索、対話などの分野で広く使われており、既に業務の在り方を変化させつつある。
例えば、プレゼン資料の作成では、構成内容やページ数を入力するだけで関連データや画像などを収集または生成して、効果的なスライドを自動的に作成できる。他にも、データ集計やグラフ生成では、売り上げなどのデータをまとめたりするだけでなく、各項目のサマリーを表示させたり、その後の成長シナリオを提示したりもできるという。
文章作成の領域では、作成したいことを指示するだけで、適切に見出しの大きさなどが調整された文書が出力され、メール文面で相手に伝えたいことを指示するだけで、適切な返信メッセージを提案してくれる。会議の決定事項やタスクをまとめた議事録を自動で作成したり、会議前のアジェンダをチャットから収集・整理したりすることも可能だ。ユーザーが得たい情報や疑問にAIが回答する対話型検索という仕組みも登場している。
ジェネレーティブAIがビジネスにもたらす価値はこれだけにとどまらず、より広範な業務領域に適用できる可能性を秘めているという(図1)。
加えて、ジェネレーティブAIはこれまで「人間にしかできないこと」と捉えられてきた「抽象的な問題の取り扱い」や「柔軟な対応」をも実現しつつある。保科氏は「AIの得意、不得意を理解した上で使いどころを謝らず、最高の結果を生むために明確な指示を与えたり、アウトプットに対して的確なフィードバックを与えたりして育てていくことが肝要だ」と指摘する。
一方で、ジェネレーティブAIが潜在的に抱えるリスクについては「自社独自のノウハウを学習させる段階で抱える情報漏えいなどのリスクや、生成されたアウトプット自体が持つ信頼性や倫理違反、著作権/プライバシー侵害などのリスクを理解した上で活用する必要がある」と警鐘を鳴らす。
「ジェネレーティブAIは、インターネット上にある大量のデータを学習することで『もっともらしい』アウトプットを出すことに長けている一方で、虚偽や偏向、不適切な表現といったものを判断できない」(同氏)
このように、ジェネレーティブAIの業務利用は大きな可能性を秘めている一方で、さまざまな潜在的なリスクにも対処しなければならない。保科氏は同社の提供価値として「責任あるAIに関する知見・ノウハウ」をベースに、「業務変革(BPR)やものづくりのDX変革/IoT導入での豊富な経験」「顧客体験を通じたビジネス成長の知見/ノウハウ」「AI+システム変革の経験と各種システムアセット」「AIの継続進化を可能とする運用体制」「ジェネレーティブAIの現場活用で得られた知見/ノウハウ」を挙げた。