日本企業が構造的な賃上げを実現するには–Xactlyが営業職の成果連動型報酬を調査

今回は「日本企業が構造的な賃上げを実現するには–Xactlyが営業職の成果連動型報酬を調査」についてご紹介します。

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 Xactlyは4月12日、2023年の事業戦略とともに、営業職の成果連動型報酬に関する調査レポートを発表した。同社は「営業の力を企業の稼ぐ力に」をミッションに、売上予測や営業計画、インセンティブ報酬管理を支援するSaaSを提供。代表取締役社長の福眞総一郎氏は賃金上昇が実現しない日本企業について「優秀な人材の確保、生産性の向上、トップライン(売上高)の成長が欠かせない」といい、「(自社は)構造的な賃上げを実現するための支援ができる」とアピールした。

 Xactlyが2022年12月に22~59歳の営業職2208人を対象に実施した調査によれば、諸外国と比べて日本企業の生産性や営業人員のエンゲージメントの低下は、賃金固定化が課題となっている。その一因となるのが報酬制度の違いだ。インセンティブとも呼ばれる成果連動型報酬は、営業職の動機に直結するのは間違いないが、国内企業で成果連動型の報酬制度を導入しているのは38.2%にとどまる。

 成果連動型の報酬制度がある企業でやりがいを感じる営業職は51.4%(有効回答=843件)。同制度がない企業でも36.6%(同1365件)に達していることから、必ずしも金銭だけが動機付けていると断言できないが、それでも15ポイント差は見逃せない。それを裏付けるのが満足度。最上位は休日休暇日数の59.3%(同制度の未導入企業は51.9%)で、金銭面は30%以下にとどまる。

 この辺りは日本人的と判断するべきか判断が難しいものの、成果連動型報酬を希望する年齢に一つのヒントがあった。20代(同584件)は39.2%が希望しているが、38.9%は「どちらとも言えない」と回答。また、50代(同473件)になると17.4%と著しく低下する。この辺りに先の満足度が関わってくるのだろう。

 それでも成果連動型報酬が自社に導入された場合は61.5%が意欲向上に直結すると回答し、報奨金の可視化を希望する割合は60.8%に達した。両者が成立した場合、業務へ積極的に取り組む割合は83.1%(同1359件)で、成果連動型報酬制度を導入する企業に転職を希望する割合は56%(同897人)に及んでいる。

 以上の結果を踏まえて、マーケティング本部長の松波孝治氏は「良い印象がないかもしれないが、グローバルで見るとインセンティブは経営のメッセージ。経営戦略の変革に沿った形で営業担当者を動かすためのメッセージだ」と説明した。

 同社は特定期間で売り上げや受注に関する営業目標達成率を可視化する「Xactly Forecasting」を提供している。

 福眞氏によると、日本企業は「CRM/SFA(顧客関係管理/営業支援システム)で可視化に取り組んでいるものの、次のステップである活動の可視化や共有化、さらにその先の売上予測をデジタル化することに取り組んでいない」という。そこで可視化や標準化、デジタル化やレビュー自動化を行うXactly Forecastingが有用であるといい、「日本企業の課題である生産性や賃金の向上、人材確保に役立つ」と主張する。

 例えば、一般的なCRMによる商談管理や「Excel」への転記、数値の追加入力を経て会議への提出という一連の手順を一気通貫で実現できるとのこと。同社によれば、商談件数を19%増加、商談金額を58%増加した一方で、商談サイクルを59%短縮するとしている。既にパイオニアやベルフェイスが導入している。

 冒頭で述べた営業人員の確保には「Xactly Incent」が役立つ。「大手IT企業がサブスクリプション型へ移行するように、営業行動も変化している。グローバル企業の営業職における報酬の4~5割が成果連動型報酬を占め、モチベーション向上につなげてきた。2022年後半から国内企業からも結構な引き合いをいただいている」(福眞氏)

 端的に言えばジョブ型雇用へのシフトだが、成果が正しく評価されるのであれば、営業職に抵抗のない人々には有用な制度となるだろう。ただし、企業が制度を導入するに当たって報酬プランの作成や管理、計算ミス、適時の予定額提示といった企業側の負担が発生する。

 Xactly Incentはこれらの課題を解決するためのツールで、「報酬プランの設計から報酬のリアルタイムに提示し、ポータルを見れば『今期のボーナスは幾ら』と分かるので、営業担当者のモチベーション向上につながる」(福眞氏)

 Xactlyは2023年の事業戦略として自社の啓発活動や、Xactly Forecastingの連動先として現在の「Salesforce」や「Microsoft Dynamics 365」に加えて、「大手CRMベンダーへの対応を2023年上半期に」(同氏)予定している。また、エコシステムの拡大によるビジネス範囲の拡充や大手企業への導入の増加を目指している。

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