ヴィーム日本法人社長が警鐘を鳴らす「企業のDXとランサムウェアの関係」
今回は「ヴィーム日本法人社長が警鐘を鳴らす「企業のDXとランサムウェアの関係」」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏と、Gartner バイスプレジデント, アナリストの藤原恒夫氏の発言を紹介する。
米Veeam Software(以下、Veeam)の日本法人であるヴィーム・ソフトウェアは先頃、今後の事業戦略についてオンラインで記者説明会を開いた。古舘氏の冒頭の発言は、その会見で紹介したグローバル企業のデータ保護の取り組みに関する年次調査結果「データプロテクションレポート2023」から抜粋した印象的な言葉を、古舘氏の発言として取り上げたものである。
会見の内容は速報記事をご覧いただくとして、古舘氏はその冒頭で、Veeamの事業状況について「IDCの2022年の市場調査結果によると、Veeamはバックアップ・リカバリーベンダーとしてグローバルでのシェアが2位だったが、1位とほぼ同率のところまできた。日本では過去5年連続でグローバル平均を大きく超える成長を果たしてきており、シェアは国内でも2位だが、トップを目指して事業活動にまい進している」と順調にビジネスが伸びていることを強調した(図1)。
同氏は毎年開いている事業戦略の会見で、必ずシェアについて触れる。発端は3年前の会見だ。その時の発言について、2020年3月6日掲載の本連載記事で「ヴィーム日本法人社長がバックアップ市場で『3年後にシェアトップ』宣言」と題して紹介した。それからすると、今年(2023年)はシェアトップになっているはずだが、実は1年前の会見で「あと1年でシェアトップになるのは難しいかもしれないが、近いうちには必ず達成できると確信している」と述べている。この発言も2022年3月4日掲載の本連載記事に記している。
こうして見ると、同氏のシェア発言は事業の成長を示すとともに、「トップを目指す」と発信し続けることで社内外をさらに勢いづかせようと鼓舞しているのだろう。ビジネスのアクセルを懸命に踏み続けている印象だ。
なぜ、アクセルを踏み続けているのか。それは、バックアップ・リカバリーベンダーにとってこれ以上ないとみられるほどの“追い風”がサイバー脅威の市場に吹きまくっているからだ。すなわち、ランサムウェア対策である。
今回の会見でもランサムウェア対策は重要なテーマだったが、ここではVeeamがまとめた最新のデータプロテクションレポートから、冒頭の発言に挙げた「ランサムウェアがデジタルトランスフォーメーション(DX)の最大の障害になってきている」ことについて取り上げておきたい。同レポートには次のように記されている。
「ランサムウェアとそれに対する不安定なサイバーセキュリティ対策の現状は、予算と人的リソースへの負荷が大きく、IT部門にとって優先度の高いものになっている。このため、本来はDX推進に割り当てられるITリソースと予算が、サイバー対策に振られるようになっている。サイバー攻撃は、身代金要求から復旧作業まで運用予算を消耗するだけでなく、組織のビジネス成長を支えるITモダナイゼーションを低下させることにつながっている」
筆者には、ランサムウェア攻撃がDXに取り組む企業のセキュリティ対策の真剣度を試しているようにも映る。その意味でもVeeamの役割は、今後ますます大きくなりそうだ。