音声コミュニケーションと生成AIの多様な活用を展開–レブコムが新戦略
今回は「音声コミュニケーションと生成AIの多様な活用を展開–レブコムが新戦略」についてご紹介します。
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音声とAI技術を手がけるRevComm(レブコム)は7月7日、対面での対話データを蓄積して解析できるようにする「MiiTel RecPod」を発表した。まずはα版で提供し、将来的に製品として提供する計画だ。2027年にはコミュニケーションに関するデータを基にした経営判断AIの試用版を提供する計画も明らかにした。また、現在は約2000社、約5万2000ユーザーを2027年に10倍の規模に拡大する中期計画も発表した。
同社は、IP電話と録音、文字起こし、音声解析を可能にする音声解析AIソフトウェア製品「MiiTel(ミーテル)」を開発、販売する。同製品は、インサイドセールスによる営業や、コールセンター業務における会話内容の可視化、セルフコーチングやテレワーク支援などにも利用されている。2021年には、東京都が新型コロナウイルス感染症の陽性患者に対する保健所での電話業務に導入。同社は米国、インドネシア、フィリピンでも同事業を展開している。また、オンライン会議解析ツール「MiiTel Meetings」では、「Zoom」や「Teams」などのオンライン会議において、AIによる文字起こしとトーク解析、音声感情認識機能を提供し、オンライン会議の可視化やユーザーの社内情報共有などを支援している。
会見した代表取締役の會田武史氏は、「RevCommの製品やテクノロジーは、短期的には売り上げの向上やコスト削減に貢献するが、中長期的に企業の生産性向上に貢献しながら、『会話のビッグデータ化』を可能にする。口頭でのデータは、企業にとって重要なデータであり、正確なデータであり、企業の資産であるにも関わらず、蓄積されていないことが多い。貴重な会話データをビッグデータとして資産化し、これを基に音声解析AIを用いて、企業に適したインサイトを提供していきたい」などと述べた。これまでのコールセンターなどを中心とした利用提案から、今後はさまざまな業務への展開、現場から経営層に至るまで幅広い層での活用を見込んでいる。
新たに開発したMiiTel RecPodは、対面での会話内容を録音し、AIによる文字起こしや解析を行うサービスと位置づける。マイクで録音した対面での会話内容をデータとして蓄積するとともに、「MiiTel Analytics」機能によって解析することで、会話データの共有や教育への活用、会話の文字起こしや議事録の作成などを可能にする。
CPOの重城聡美氏は、「これまでの通話やオンライン会議に加えて、オフラインの対面による会話もデータとして蓄積できるようになり、コミュニケーションが発生する全ての場所から、『会話のビッグデータ化』が可能になる。会話情報をビッグデータとして知識化することにより、営業戦略のみならず、マーケティング施策やプロダクト開発に資するインサイトを提供できる」とした。
また中期計画として、創業10周年を迎える2027年までに現在のユーザー数を10倍の規模に拡大する計画を示した。會田氏は、「従来は、音声認識と聞くと、99%の人が文字起こしをイメージしていたが、RevCommでは、何を話しているかだけでなく、どのように話しているかにフォーカスし、話し方をセルフコーチングしたり、相手が心地よいと感じる伝え方を提案したりできる。AIが人の仕事を奪うのではなく、人を想うようなコミュニケーションを支援し、生産性を高め、経済的、時間的に余裕が生まれることを目指したい」と語った。
さらに、「自動スクリプトやAIコーチング、自動面会予約AIといった『Vertical』での進化、会議データの解析などをより進化させることでAIが経営判断を支援する『Horizontal』への取り組み、これらを組み合わせてプラットフォーム化を進める『Parallel』、海外事業展開による『Geographical』の観点から事業を拡大する。製品群を拡張し、2027年までに10倍のユーザー数を目指したい」と述べた。
その実現に向けて製品の進化や拡張に積極的に乗り出す。MiiTelでは、コールセンター機能を拡充し、稼働状況を可視化する。スーパーバイザーとオペレーターのコミュニケーション時間の創出を支援するほか、リアルタイムな音声認識機能を搭載することで、オペレーターの通話内容を文字ベースで効率的に確認できるようにする。
また、MiiTel Meetingsでは、ZoomやTeams に加えて「Google Meet」にも対応し、ダッシュボードで全体傾向の把握やAIによる会議分析などもできるようにする。CRMやSFAのシステム、「Slack」との連携も図れるようにする。さらに、MiiTel RecPodによる対面会話データの取り込みや、MiiTel Analyticsでの分析を通じて、プラットフォームとしての役割を進化させる。他社製品と連携するための「Incoming Webhook」も提供する。
「MiiTelは文字起こしを見ながら効率的に再生、コメントできる応対履歴UI(ユーザーインターフェース)にリニューアルをする予定で、すぐに業務の改善活動などにつなげられるようになる。また、『ChatGPT』により通話を自動要約する機能も実装する予定で、ユーザーの業務効率化や生産性向上を図ることができる。膨大な通話データから示唆を抽出し、気づきを得やすい仕組みを整備していく」(重城氏)
一方、生成AIの活用についても説明した。同社は、生成AIを活用した新たなコミュニケーションを研究する専門開発組織として「RevComm Research」(RCR)を1月に設立している。
リサーチディレクターの橋本泰一氏は、「生成AIのほか、音声認識、音声合成、自然言語理解などを通じて、コミュニケーションの再発明に挑む」とした。既に筑波大学、京都大学、九州工業大学と産学連携で共同研究を行い、音声感情認識、音声認識、対話要約の分野で活動する。2022年だけで8件の学術論文を発表した成果などを基にRCRの活動を進めていく。
橋本氏は、「今後は経営判断の支援につなげたい。そのためには、外部の客観的な情報を基に判断できるよう、知識ベースを活用した生成AIの拡張を重視したい。また、音声、テキスト、画像といった多様なデータを同時に入力し、判断できるマルチモーダル化にも対応していく」と述べた。経営判断AIにも生成AIを活用する計画であり、「Azure Cognitive Service」を通じてChatGPTの活用などを進めているという。