第3回:インボイス制度への対応と業務のデジタル化に当たって
今回は「第3回:インボイス制度への対応と業務のデジタル化に当たって」についてご紹介します。
関連ワード (2024年1月から対応必須に。改正電子帳簿保存法への対応、CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
2022年1月から施行されている改正電子帳簿保存法。2年間の宥恕(ゆうじょ)期間を経て、いよいよ2024年1月から全事業者の対応が必須となります。この連載では、改正電子帳簿保存法やインボイス制度について、企業がどのように対応していくべきか、法令の背景や規定の変更まで含めて解説していきます。
2023年10月よりインボイス制度が導入されます。インボイス制度とは、「適格請求書(インボイス)」を使って仕入れ税額控除を受けるための制度です。まず、消費税の控除について説明します。
例えばA社がB社より1000円(税100円)の商品を仕入れ、消費者に5000円(税500円)で販売した場合、A社の消費税の納税額は次のように計算されます。
売上時に受け取った消費税ー仕入れ時に支払った消費税=納付する消費税額
つまり、この場合は500円ー100円=400円がA社の納税額となります。仕入れ時に支払った消費税分はB社が支払うので控除されています。
さて、適格請求書とは、請求書に「登録番号」「適用税率」「消費税額」が記載されている請求書のことです。適格請求書は次のように発行します。
まず、請求書を発行する事業者は、所轄する税務署長に適格請求書発行事業者の登録を申請します。税務署による審査を経て、適格請求書発行事業者登記簿に、氏名または事業者名称、登録番号が登録されます。適格請求書発行事業者として登録されると登録番号が通知されます。登録期限は、2023年9月30日となっています。
適格請求書は、ERPや会計ソフトなど適格請求書に対応したシステムで自事業者の登録番号を登録すれば発行できます。適格請求書を受け取った事業者は消費税の控除ができます。
なお、基準年度の売上高が1千万円以下の免税事業者は、翌々期は消費税の申告・納税を免除されますが、登録事業者であれば納税が必要になります。登録していない場合は、これまで通り免除されます。
しかし、取引先にとっては、登録していない事業者への支払は控除が制限されるため、冒頭のケースであればA社は500円を納税することになり、本来控除される100円がA社の負担になってしまいます。このため、登録事業者ではない事業者への発注が減る可能性があると言われています。
もう一つの注意点として、適格請求書は発行側も受領側も7年間保存する必要があることが挙げられます。保存については、改正電子帳簿保存法の保存要件に対応します。保存要件については、連載1回、2回で解説しています。
消費税の控除を受けるためには、取引先が発行事業者の登録をしているか確認が必須となります。また、自社で取得した登録番号を取引先に案内し、自社が適格請求書発行事業者であることを知らせることもあります。メールでのやり取りでもいいのですが、件数が多いと管理が大変です。そこで効率化のために「Adobe Acrobat Sign」を活用する方法について紹介します。
この方法では、自社の登録番号のお知らせと取引先の登録番号の取得を同時に行います。今回のケースでは、自社の番号のお知らせと、適格請求書登録状況確認の依頼の2つの文書を用意します。自社番号のお知らせは、文書のリンクを送付すれば完了です。
番号の取得では、Adobe Acrobat Signでウェブフォームを作成してリンクを送付します。ウェブフォームに、相手方の会社名、担当者名、メールアドレスなど必要な項目をフィールドに追加し、適格請求書発行事業者の登録済み/未登録のいずれかを選択できるようにします。登録済みの場合は、登録番号を入力してもらいます。