広がるリーガルテック–導入企業が持つべき視点とは
今回は「広がるリーガルテック–導入企業が持つべき視点とは」についてご紹介します。
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企業法務にも、DXの波が押し寄せている。ここ数年にわたり拡大傾向が続くリーガルテック市場ではさまざまなサービスが登場し、導入企業も格段に増えている。リーガルテックの導入を意義あるものとするためには、企業はどのような視点で捉え、どんな指針を持つべきなのか、解説する。
リーガルテックには、電子契約や契約書レビュー、契約書の管理、申請や出願を代行するサービスなどが含まれる。リーガルテック市場は、ここ数年で多くのサービスが登場し、成長を続けているが、背景には、企業におけるさまざまな業務のデジタル化やペーパーレス化、働き方改革などの動きが後押しとなったことが挙げられる。また、少子高齢化による労働人口の減少が叫ばれるようになり、多くの企業で業務効率化や生産性の向上を目指すようになった影響も大きい。
リーガルテック市場拡大のけん引役は、電子契約サービスや契約書レビューなどの、契約締結に関連するサービスだ。矢野経済研究所の調査によると、電子契約サービスの市場規模は2025年には395億円に達する見通しだという。約3年に及んだコロナ禍の影響で、紙の書類ベースで従来行われることが多かった契約関連業務は、デジタル化が急速に進んでいる。書類の確認やハンコの押印のためだけに出社を余儀なくされるなどの非効率性が際立ったため、場所を選ばず時間を効率的に使えるオンライン完結型のサービスが受け入れられたと言えるだろう。
しかし、電子契約サービスの導入が増加する一方で、新たな課題も生じている。契約書の発行形態は自社だけで決めることができず、すぐに全てを電子化することが難しい。多くの企業で紙と電子の契約書が混在しており、契約管理がますます複雑化している現状もある。その課題を解決するため、契約書の管理に強みを持つサービスも生まれ、リーガルテック市場のすそ野が広がっている。
さらに2023年8月には、法務省が、取引内容に争いのない企業間の一般的な契約の審査にAIの利用を容認する考えを公表。グレーゾーンに一定の指針が示されたことで、リーガルテック企業の機能開発は一層加速し、各社の事業領域が拡大するとともに、多様化が進むと予想される。リーガルテック市場はますます注目を浴びそうだ。
リーガルテック導入の目的の一つとして、契約の電子化によって、法務部門の事務負担を軽減することが挙げられる。
従来の契約手続きでは、紙の書類への押印や郵送でのやりとりを必要とするケースが多く、多くの手間がかかっていた。紙の契約書は書面のフォーマットもさまざまで管理が大変な上、紛失のリスクもある。さらに、法務部門は法的な知識を持つ専門家集団であるが故に、営業などのフロント部門からは契約内容の確認などを「丸投げ」されるケースも目立つ。Sansanが実施した調査では、法務以外の職種で契約締結業務に関わる900人のビジネスパーソンのうち、契約書の内容を「すべて自分で確認している」と答えた人は約4割にとどまることが明らかになっている。