記者会見で日本のビジネス目標に言及したSnowflake CEOの思惑とは
今回は「記者会見で日本のビジネス目標に言及したSnowflake CEOの思惑とは」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、Snowflake CEOのFrank Slootman氏と、Dataiku Japan カントリーマネージャーの佐藤豊氏の発言を紹介する。
米Snowflakeの日本法人Snowflakeは9月7日、翌8日に都内ホテルで開催したプライベートイベント「Data Cloud World Tour Tokyo」を前に、米国本社から来日したエグゼクティブを迎えて同社の最新動向などについて記者説明会を開いた。冒頭の発言は、来日したCEOのFrank Slootman(フランク・スルートマン)氏が会見で、日本市場でのビジネス拡大に意欲を示したものである。
会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、ここではSlootman氏の冒頭の発言と共に、筆者が興味深く感じた話を取り上げたい。
Slootman氏は会見で、「当社のビジネスでは、日本は米国に次ぐ大きな市場だ。日本では4年前にビジネスを開始して以来、これまでにおよそ500社のお客さまに当社のソリューションを利用していただいている。さらに、今後1年半以内にこれを倍増させたい。それほど、日本市場は高い成長を見込める。それというのも、日本の企業においてはデータドリブン経営を推進しようという気運が大いに高まっているからだ」と述べた。
冒頭の発言は、このコメントから抜粋したものである。
Slootman氏に続いて登壇した米国本社 プロダクト担当上級副社長(SVP)のChristian Kleinerman(クリスチャン・クレナマン)氏が述べた以下の話も印象的だった(写真1)。
「今日、皆さんに最もお伝えしたいのは、Snowflakeはデータウェアハウス(DWH)およびデータアナリティクスの会社としてスタートしたが、その後、事業の範囲をどんどん広げているということだ。特に『データクラウド』というコンセプトを打ち出した。データクラウドはテクノロジーにとどまらず、データに関わるさまざまなプロバイダーからなるエコシステムを指す。そうした中で、当社はDWHやデータアナリティクスに加えて、データエンジニアリング、データサイエンス、データガバナンス、そしてそれらに関連するアプリケーションやコラボレーション、セキュリティのソリューションなども手掛ける会社となっている」
つまりは、Snowflakeの変貌ぶり、躍進ぶりを訴えたかったようだ。そして、Kleinerman氏は「当社のサービスは現在、グローバルで8000社を超えるお客さまに使っていただいているが、その多くは他社のサービスから移行されてきた」として、図1を示した。
この図の内容について、同氏はそれ以上説明しなかったが、競合と目される会社名が記されていただけに、思わず注目した。
と、ここまでKleinerman氏の話が長くなったが、実は、Slootman氏の話は2分ほどの挨拶ということで、その後にKleinerman氏が質疑応答も含めて30分近くスピーチを行った。こうしたケースではCEOがむしろ30分ほどスピーチすることが多いが、これもSnowflakeの流儀なのかもしれない。
とはいえ、Slootman氏は短い時間の中で「日本でのビジネス目標」に言及し、強い印象を残した。CEOが記者会見で、グローバルではなく日本の具体的な目標を明言するのは珍しい。それもCEOの日本へのコミットメントと考えれば、かなり重みがあるものになるともいえる。ただ、日本法人は大変だろうが。今のSnowflakeの勢いからすれば、高くないハードルなのかもしれない。そんなことをあれこれ感じた会見だった。