AI時代に求められる2つの対照的スキル–数学とビジネス開発

今回は「AI時代に求められる2つの対照的スキル–数学とビジネス開発」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 人工知能(AI)は、将来必要とされるスキルに関する私たちの考えを、興味深い形で覆し続けている。基盤技術、データサイエンス、および統計に関する深い理解を私たちに求める一方、基礎的な技術の習得にそれほど執着せず、ビジネス上のメリットを常に見極める能力も要求してもいる。

 AIの台頭により、技術管理者や技術専門家は、この2つの一見異なるスキルのニーズに関して、いくつかの重要な決断を迫られている。

 生成AIをベースとして構築されたツールは、生産性の面で魅力的なメリットを開発者やその他の技術専門家にもたらしているが、これはそうした人々の役割が再考されることも意味している。AIアプリケーションの開発に集中したいと考えている人にとっては、今が基本的な数学のスキルを強化すべき時期かもしれない。一方、より右脳的な役割を求めている人にとっては、ビジネス開発のスキルが最も必要となる。

 上に挙げたのは、SAPの最高人材・組織開発責任者(CLO)でベンチャーキャピタリストのMaxwell Wessel氏の言葉だ。同氏は、AIが技術職に与える影響について、いろいろと意見を公表している。Wessel氏は、数学のスキルを見直す時期が来ているかもしれないと主張する。「ほとんどの技術専門家にとって、数学という基本に立ち返ることが必要になるだろう」と同氏は述べ、次のように続けた。「私がキャリアを積み重ねていた頃、問題はコードで定義されていた。コーディング言語、OS、そしてハードウェアの限界が、理解すべき最も基本的な事柄であることが多かった。だが、AIの世界においては、同じような体系的な問題が、統計で最も明確に定義されることになる。数学への理解が深まるほど、モデルの有用性を理解することが容易になるだろう」

 これからは数学が、AIを使った多くの仕事で最前線に立つことになるかもしれないが、AIアプリケーションの開発や設計に直接関わらない人にとっては、「求められるスキルは専門性の薄いものだ」と、Wessel氏は続ける。「コードを書く必要はそれほどないかもしれないが、新しいツールを最大限に活用するには、製品管理、設計、ユーザー調査に関する能力が今以上に必要とされるはずだ」

 ITの役割は今後、さらに変化することが見込まれる。「IT人材の機能はテクノロジーとともに進化し続け、それはITプロフェッショナルの役割や期待も同時に変化していくことを意味する」とWessel氏は予想する。「この40年間に、時間のかかる反復作業は自動化が進んだが、AIがより賢くなり、アプリの開発・展開プロセスへのさらなる統合が可能になるのに伴い、自動化は今後も確実に進んでいくだろう」

 Wessel氏は、この新興技術の潜在的な影響について楽観的だ。「全体的に見れば、生成AIは、労働力の革新を招き、私たちが直面している多くのスキル不足の解消に役立つだろう」

 「生成AIは、開発者がタスクをより効果的に達成するのに役立つ、優れたツールを提供する。デバッグを助けてくれるし、未知のコードスニペットを短いステートメントにまとめてくれる。問題に対処する方法を提案してくれる。これらはすべて、開発者が時間を節約し、より戦略的な思考へとシフトするのに役立つ」

 IT専門家はビジネスのニーズに近づくにつれて、役割が拡充していくことになるだろう。「単調な日々の自動化作業から脱却することで、ビジネスリーダーと連携し、創造性やテクノロジーへの理解、大きな問題を解決するための新たな能力を活用する機会が増えていく」とWessel氏は述べている。

 AIベースのツールは本質的に、「複雑なコーディングをより身近にするものだ。その意味では、ローコードツールといえる。シチズンデベロッパーが、これまで以上に複雑なことを行うようになるだろう。そのおかげで、技術に精通したコンピューター/データサイエンティストは解放され、システムの仕組みに関する深い理解が必要な問題にもっと注力できるようになる」(Wessel氏)

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