HashiCorp製品導入事例に見るクラウド移行ジャーニー–「HashiConf 2023」基調講演
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HashiCorpの共同創業者で最高技術責任者(CTO)を務めるArmon Dadgar氏は米国時間10月12日、年次カンファレンス「HashiConf 2023」で2日目の基調講演に登壇し、同社製品の導入事例についてユーザー企業の担当者と話をした。
冒頭、同氏は、ユーザーや顧客企業におけるクラウド移行の旅路(ジャーニー)には典型的な流れがあると述べる。多少の違いはあるもののパターンとしては同じだとし、クラウド導入の3フェーズを紹介した。
フェーズ1は比較的アドホックなアプローチだ。組織はクラウドを使い始め、アプリケーションチームはさまざまなツールを手に取り、アプリケーションのプロビジョニングとデプロイを始める。チームごとに異なるプロセスで異なるツールが使われる。そして、組織はある時点である課題に必ずぶつかることになる。
ツールが乱立し、セキュリティ上の問題が発生する。安全でない方法でプロビジョニングしたり、最新の状態に保たれてない環境があったりする。厳重に管理されたファイアウォールルールも存在せず、コスト的な問題も生じてくる。
そこで、組織は、プラットフォームチームやクラウド・センター・オブ・エクセレンスと呼ばれるグループを立ち上げ、フェーズ2に移行する。アプリケーションチームがセキュリティやコンプライアンス、コストにまつわる日々の課題を解決できるよう、ツール、プロセス、標準という点でより一貫したアプローチを提供する。多くの場合、この動きはクラウド導入とともに始まり、プラットフォームチームは、クラウド環境にサービスを提供する責任を負う。
その後、組織は、クラウドにとどまらず、小売店やプライベートデータセンター、あるいはエッジについて考えるようになる。そして、最も成熟した大規模なクラウドの導入というフェーズ3に行き着くという。
このパターンに現実味を持たせるため、2社の事例を紹介するとDadgar氏。まずは、The Home DepotでCloud Engineering and Enablement担当ディレクターであるEvan Wood氏が登壇。同社は、全米で2000店舗を展開する住宅リフォーム小売チェーン。Wood氏は、約30人のチームを率いており、「Terraform Enterprise」や「Vault Enterprise」を使ったクラウド管理プラットフォームの管理を担当する。約1000のGoogle Cloud Platform(GCP)プロジェクトがあり、3000人以上の開発者をサポートする。
クラウドを2015年頃から試し始め、翌年には本格化させたという。オープンソース版「Vault」をEコマースプラットフォーム用に展開しており、それらのクラスターセットは現在も稼働中で、1000のアプリケーションをサポートしていると同氏。Enterprise版への移行について検討し始めているところだという。2018年には複数のチームがオープンソース版「Terraform」をかなり広く採用しており、個々のチームのクラウドインフラ管理能力が向上したが、分断化もある程度発生したとWood氏は明かす。
その後、同氏のチームが結成され、Terraform Enterpriseを展開することに着手しており、これは標準化に役立ったと同氏は語る。2022年頃、Enterprise版Vaultの展開を開始した。アドホックな状態からプラットフォームチームの結成へと向かった背景にはコンプライアンスがあるという。
今後については、これまでに学んだことを生かして、開発者のためにフルマネージされたエクスペリエンスに取り組んでいるという。Terraformのテストスイートに興味があり、特にAI利用のモジュールテスト生成にはとても興奮しているとWood氏は述べる。