グリッド、AIとデジタルツインによる鉄道輸送計画最適化技術を開発
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グリッドは、AIとデジタルツインを活用することで、鉄道分野の輸送計画業務を最適化する「ReNom Railway」の開発を開始し、今後3年以内に商品化する計画を発表した。JRや大手私鉄など約20社が対象となる。既にサンプルデータを用いて、計画の最適化が可能であることを実証しており、今後は鉄道事業者との協業を通して開発を推進する。
同社は、電力や海運、サプライチェーンの3分野を対象にした社会インフラ特化型SaaS「ReNom Apps for Industry SaaS」を提供し、今回のReNom Railwayは、同SaaSにおける新たなソリューションに位置付けている。ReNom Railwayは鉄道分野に特化し、車両運用計画と構内作業計画の立案を支援する。
事業開発部 鉄道担当の山本修平氏は、「鉄道輸送に関する多様な計画は熟練技術者によって立案され、鉄道の安全と安定的な運航を実現している。だが、計画業務が複雑化しているのに加え、コロナ禍における乗客数の減少によりコスト削減が喫緊の課題になっている。当社の社会インフラ分野でのノウハウを基に、鉄道分野における課題を解決し、計画立案の最適化を支援することで、鉄道業界の DX 化を加速し、暮らしと社会を豊かにすることに貢献したい」と述べた。
鉄道の車両運用計画は、列車ダイヤに基づいて、どの車両をどの列車に割り当て、運行するかを計画するもので、ReNom Railwayでは、同社独自のAIアルゴリズムとデジタルツイン環境を用いて計画立案を自動化し、運行計画を最適化できるのが特徴だ。
大手鉄道会社では、限られた数の車両を効率的に使い、1日数百本に上る列車をダイヤ通りに運行するために、膨大な組み合わせの中から最適な計画を行っている。ここでは、路線の特徴や車両の配置、点検、列車の分割および併結、駅構内の状況といった多種多様な制約を考慮する必要があるほか、輸送障害の発生時には計画の修正を余儀なくされている。そのため、計画を作成する担当者には高度な技術とノウハウが求められていた。
ReNom Railwayでは、人手で1日を要した1カ月分の車両運用計画を短時間で立案できるようになるという。また、車両運用の最適化によって、高額な車両の保有数を見直すこともでき、コスト削減につなげられるとした。
山本氏は、「誰でも計画が行えるようになることで、決まった担当者しか運行計画を作成できないという属人化の状況から脱却できるメリットもある。また、1000両の車両を保有する鉄道会社が1%の車両の見直しを行うこができれば、約10億円のコストメリットにつながる」と話す。
ReNom Railwayでは、列車ダイヤや検査情報、清掃情報、構内設備情報などを入力し、車両割当制約や検査実施制約、構内同時滞留制約などの制約条件を加えて処理を行うほか、必要編成数の最小化、回送実施回数の最小化などの目的関数を基にした計画立案を行える。作成された車両運用計画は、「行路計画」「交番計画」「車両運用表」として出力される。