NTTデータグループが決算、鍵を握るデータセンター事業と海外事業
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NTTデータグループが11月6日に発表した2023年度上期(2023年4~9月)連結業績は、多くのプラス要因が重なり、大幅な増収となった。代表取締役社長の本間洋氏は、「『NTT Ltd.』による連結の影響拡大に加え、公共・社会基盤、金融、法人などの日本セグメントでの好調ぶりや、欧州での規模拡大、為替影響などにより大幅な増収となった。受注に関しても『日本セグメント』の公共・社会基盤での大型案件の獲得をはじめ、全ての分野で案件を着実に獲得している」と売上高、受注高の好調ぶりを強調した。
2023年度上期の売上高は前年同期比51.6%増の2兆785億円、受注高が同81.4%増の2兆1666億円といずれも高い成長を遂げている。だが、これに対して営業利益は同12.9%増の1218億円と、売上高の高成長に比べ迫力に欠ける。本間氏は、「営業利益は海外事業の統合や構造改革に伴う費用、全社の戦略投資があった。だが、それでも増益になっている」とした。
一方で、当期利益は同10.2%減の1700億円とマイナス成長で、これもNTT Ltd.による連結が影響したものだ。NTT Ltd.のデータセンター事業は、特性上から先行型での大規模設備投資が前提となっており、有利子負債の増加や金利上昇による支払利息の増加などが影響している。今上期は金融費用として260億円が発生し、前年同期に比べ290億円増加している。しかも同社は、年間で520億円を想定しているが、これを上回る可能性があるという。その点で不安材料があることは否めない。
だが本間氏は、「データセンター事業は利益貢献までに時間を要するが、市場全体では中長期的な高成長率を見込める。さらにAI需要が加わることで、さらに高い成長が期待される事業領域。2027年度にEBITDAで1800億円の創出を目指し、積極的に投資を進める」と、これまでの姿勢は崩さない。
データセンター投資については、2023年度で3500億円の通期計画を掲げているが、上期までに1372億円を投資しており、ほぼ想定どおりの進展となっている。
「高電力・高密度需要に対応したデータセンター事業者の強みを生かし、旺盛な需要を取り込んでいく」(本間氏)と、継続的投資を背景にした事業成長を想定している。2027年度までに、データセンター事業へ約1兆5000億円の投資を計画しており、これからが本番だ。
ここでは、AI関連需要を見越した戦略的拠点の検討や先行性の確保、電力消費の削減に貢献できる新しい冷却ソリューションの導入促進、ハイパースケーラーおよびエンタープライズ向けの双方で急増するAI需要の取り込みを進めることになる。
その上で、「投資収益性の回復と財務健全性の改善は、継続して取り組む課題。質を伴った成長によるEBITDA創出力の向上、データセンター事業で第三者資本の活用による回収期間の短縮、有利子負債のコントロールを進める」(本間氏)とした。
そのほか、既存の変動金利によるドル借入金を固定金利に借り換え、「逆イールド」の活用による支払利息の軽減や、低金利の円で調達してNTT Ltd.に貸し付けることでNTT Ltd.の既存のドル借入金を返済する「円キャリー」を実施する。円とドルの借入金利差による支払利息の軽減策も行う。
既に、固定金利の借り換えでは100億円、円キャリーでは1000億円を実施しており、それぞれに10億円弱、25億円の効果を見込んでいる。
NTTデータグループにとって、EBITDAを確実に創出しながら、データセンター事業を拡大できるかが大きな挑戦となる。この点は慎重に見ておく必要があるだろう。