アリババ、EC出店企業の支援に向けた生成型AIのAPI群「Aidge」をテスト
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中国の阿里巴巴集団(アリババグループ)のEコマース事業部門であるAlibaba International Digital Commerce Group(Alibaba International)は、同社の大規模言語モデル(LLM)を用いて、生成型の人工知能(AI)のユースケースをテストするために、SaaSベンダーや独立系ソフトウェアベンダー(ISV)との提携を模索しているという。
「Aidge」と呼ばれるAPI群を介してアクセス可能な同社のAIモデルは、アリババのグローバルなEコマース業務を横断するかたちで集積されたデータからの洞察を用いて訓練されている。
Alibaba Internationalはシンガポールで現地時間11月6日、Aidgeのパイロット試行を開始すると発表した。それによると同社は、SaaSベンダーやISVとともに15を超えるAPI群をテストするとともに、ユースケースを共同で定義していく計画だという。また、これらのAPIはコンシューマー関連の洞察や、コンテンツのローカライゼーション、マーケティング、デザイン、顧客サービスを含む複数のEコマース分野を網羅できるという。
アリババのEコマース事業部門は、2023年に入って実施された大規模な組織再編に伴って創設された6つの事業部門のうちの1つだ。Cloud Intelligence GroupとCainiao Smart Logistics Networkもこの時点で独立した事業部門となった。Alibaba Internationalは、LazadaやAliExpress、Trendyol、Darazを含む同社のEC事業を運営している。
AidgeはAlibaba Cloudの基盤モデルである「通義千問」(Tongyi Qianwen)上に構築されているのかという質問に対し、同社の広報担当者は、AidgeがAlibaba Internationalの「プロプライエタリー」なLLMおよびコンピュータービジョンモデルに基づいているとのみ回答した。
通義千問は4月に発表されたAlibaba Cloud独自のLLMであり、「近い将来」にアリババのさまざまなビジネスアプリケーションで利用できるようになるとされている。その目的は、アリババのEコマースや検索、ナビゲーションを含む同社の製品とサービス全体のユーザーエクスペリエンスを向上させることだ。
同社の広報担当者が米ZDNETに語ったところによると、Aidgeのパイロット試行はシンガポール内外のソフトウェアパートナーに対して利用可能になっているという。現時点でDarazやAliExpressもこのAIスイートのテストを実施しているところだ。また、パイロット試行に参加している「外部の顧客」もいるとのことだったが、Alibaba Internationalの広報担当者は詳細を明らかにしなかった。
このAPI群はサブスクリプションモデルで利用可能になるのかという質問に対して、同広報担当者は後の段階で詳細を発表することになると回答した。
Alibaba InternationalのバイスプレジデントであるZhang Kaifu氏は今回の発表の場で、Aidgeのパイロット試行は12月にかけて実施し、API群は2024年の初めから地域単位で徐々にロールアウトしていくと述べた。
Zhang氏は、アリババのECプラットフォームに出店している事業者の多くが中小・中堅企業(SMB)であり、こうした事業者がローカル市場以外への販売を目指すにあたり、複数の共通する課題に直面していると語った。言語や文化の壁、デザインやカスタマーサービスなどの人材不足、コストや市場競争などが、大きな障害になっているという。
同氏によると、AIを活用することで、こうした課題を解決し、コストや業務を効率化できるという。例えば、EC向けの多言語LLMは、現地の消費者に関する洞察を生成し、コンテンツをローカライズできる。また、AIを活用したコンテンツ制作は、マーケティングやユーザー獲得キャンペーンに利用できる。