AIが医療を変える–3つの研究事例と生成AIの可能性

今回は「AIが医療を変える–3つの研究事例と生成AIの可能性」についてご紹介します。

関連ワード (AIが企業にもたらす変化、CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 医療のデジタル化には長い時間がかかる。治療の実践は明らかな理由から、入念に検討された昔ながらのやり方と結びついているからだ。

 しかし、多様な形態の人工知能(AI)が徐々に臨床へと浸透しつつある。AIの用途には、予測分析、スマート人工器官、モバイル診断、脳インプラントなどがある。さらに、「ChatGPT」のような大規模言語モデル(LLM)が登場しているため、本記事で医療における活用の可能性を探っていく。

 こうした活動の大半はパイロット研究の形をとっているが、AIが今後何十年にもわたって、医療の提供方法の形成において大きな役割を果たすことは間違いないだろう。

 「深層学習AIは、長年にわたる懸命な取り組みを経て、ようやく技術インフラの整備という段階を脱し、訓練用のデータが利用できるようになった」。こう語るJeremy Howard氏は、AI研究と教育のスタートアップFast.aiの共同創設者で、深層学習を初めて医療に応用した企業Enliticの創設者でもある。

 こうした取り組みにより、AIの医学への応用が「近い将来にとてつもない勢いで拡大していくはずだ」とHoward氏は米ZDNETとのインタビューで語った。

 現在、AIを医学へ応用する最先端の研究は、豊富な実績があるさまざまな機械学習形式のAIを使用した小規模な研究で構成されている。それらは何十年にもわたって価値を証明してきたプログラムだ。ついに臨床導入が開始され、脳活動のリアルタイムの測定から電子カルテまで、さまざまなデータに適用されている。

 OpenAIのChatGPTなど、より新しい種類の機械学習AIが導入されるのは、まだ先のことだ。非常に注目の高い技術ではあるが、臨床という繊細な分野で信頼を得るには、まだあまりにも新しい。

 機械学習の使用はすでに、研究に参加している患者に大きな変化をもたらしている。自転車事故の被害に遭った40歳のGert-Jan Oskamさんは、最新のブレインコンピューターインターフェースによって、再び立って歩くことできるようになった。Oskamさんは権威ある学術誌「Nature」に対し、この装置が「人生を変えた」と語っている。

 「先週、あるものにペンキを塗る必要があったが、手伝ってくれる人が誰もいなかった」とOskamさん。「そこで、歩行器を使ってペンキを取り、立ったまま自分で塗った」

 医療向けAIが早い段階で挙げた非常に劇的な成果としては、まだ数は少ないものの、重傷者の身体機能を回復するさまざまな種類の人工器官の成功がある。

 Elon Musk氏のことはひとまず忘れよう。「ブレインコンピューターインターフェース」(BCI)は、Musk氏が臨床試験に投入すると述べたことで知られるが、スタンフォード大学のチームによってすでに実現した。これは、入念に開発された機械学習形式のAIを用いた見事な事例だ。

 スタンフォード大学機械工学部の研究者らが開発した「デジタルブリッジ」は、センサーと無線技術を使って、損傷を受けた脊髄の周囲に脳信号を送る。Oskamさんは10年前の自転車事故で脊髄を損傷し、ほとんど歩けなくなっていたが、この装置によって歩く能力を取り戻した。

 研究者のHenri Lorach氏とチームは5月、Oskamさんに埋め込んだ「脳と脊髄をつなぐインターフェース」についてNatureで説明した。Oskamさんは、5カ月間にわたる脊髄の硬膜外電気刺激のプログラムを受け、歩行器を使って何歩か歩けるようになった後、脚の使用を制限していた。

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