NTTデータとNTTドコモの法人向け事業の気になる関係

今回は「NTTデータとNTTドコモの法人向け事業の気になる関係」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、NTTデータグループ 代表取締役社長の本間洋氏と、AWSジャパン インダストリー事業開発部 シニア事業開発マネージャーの山口賢人氏の発言を紹介する。

 NTTデータグループは先頃、2023年度(2024年3月期)上期(2023年4~9月)の決算と今後の業績見通しについて発表した。本間氏の冒頭の発言はその発表会見で、「国内事業でNTTドコモの法人向け事業とバッティングする領域が出てくるのではないか」と聞いた筆者の質問に答えたものである。

 会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは本間氏の冒頭の発言に注目したい。

 NTTデータグループは7月から、持株会社のNTTデータグループ、国内事業会社のNTTデータ、海外事業会社のNTT DATA Inc.の3社体制に移行した。従って、冒頭の発言にある「国内事業」はNTTデータのことである。表1は、3社の上期と第2四半期(2023年7~9月)、さらに通年見通しの売上高を示したものである。

 表1から読み取ると、NTTデータグループの2023年度の売上高は4兆1000億円、そのうちNTTデータは同1兆7000億円となる見通しだ。

 そうした決算が発表された後の質疑応答で、筆者はNTTデータグループもさることながら、ここ数年、NTTグループとしても大掛かりに再編が行われたことから、「今後、日本国内での事業で、NTTデータとNTTドコモの法人向け事業においてバッティングする領域が出てくるのではないか。同じ国内の法人向け事業であることから、NTTグループのさらなる再編として統合されるのではないかとの見方もあるが、こうした動きについて本間社長の見解をうかがいたい」と聞いてみた。

 ちなみに、NTTドコモは2020年に上場廃止してNTTの完全子会社になった後、NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアを子会社化した。これにより、移動通信から固定通信、ソフトウェアまで手掛ける事業体になった。その新生NTTドコモが、注力しているのが法人向け事業である。これに、さらにNTTデータが統合されれば、ネットワークとシステムの開発・運用を一手に担える形になる。ただし、統合についてはNTTグループを取り巻くさまざまな状況や事情から、今のところ現実味は薄いようだ。

 そうした背景のもと、筆者の上記の質問に対し、本間氏は次のように答えた。

 「NTTドコモはこれまでも法人向け事業を展開してきたが、これからはとくにコンテンツ系のビジネスを加速していくものと認識している。例えば、スマートフォンによる決済やポイントに関連するサービスが挙げられる。そうした事業を進める中で、システムインテグレーションなどでNTTデータが協力できるところは、今後もしっかりと貢献していきたいと考えている。ということで、NTTデータがNTTドコモの法人向け事業とバッティングするとは考えていない」

 冒頭の発言は、このコメントの最後の部分を取り上げたものである。統合についての言及はなかった。

 ただ、NTTドコモの法人向け事業の内容を見ると、「デジタルトランスフォーメーション(DX)支援ソリューション」なども挙げられており、「統合したほうが効率的だ」との見方はくすぶり続けそうだ。ちなみに、NTTドコモの法人向け事業の売上高は2023年度で1兆8800億円の見通し。NTTデータと合わせれば、3兆5800億円の規模になる。そんな超大手の国内IT企業が誕生するのを見てみたい気もする。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
グーグル、米国のオフィスとデータセンターに1兆円超を追加投資へ
IT関連
2022-04-15 13:36
工場や倉庫で活躍する産業用ロボットの制御システムを手がけるボストンのRealtime Roboticsが約34.6億円調達
ロボティクス
2021-06-06 05:30
三流プログラマがなぜ米マイクロソフトの開発者になれたのか? ガチ三流プログラマが超巨大クラウドの中の人に転生した話。Regional Scrum Gathering Tokyo 2022
Microsoft
2022-01-17 11:18
パイオニアが「モノ×コト」で切り開く「未来の移動体験」
IT関連
2023-12-15 17:23
メガバンクの勘定系システムはクラウドへ移行するか–AWSジャパン金融事業トップに聞いてみた
IT関連
2024-03-08 05:02
JR東日本、MaaS基盤の開発高速化・高品質化で可観測性プラットフォームを導入
IT関連
2022-03-31 07:04
中国で個人情報保護法が成立–11月施行へ
IT関連
2021-08-23 16:19
オンプレミスの「VMware」環境をそのままクラウドに–「Oracle Cloud VMware Solution」の特徴と強み
IT関連
2024-07-12 22:23
デジタル前提のIT構造に変えていく–日本オラクルの2023年度事業戦略
IT関連
2022-07-09 06:19
「薬飲まされた」とLINEでSOS 密室の覚醒剤死事件 証拠どう評価
IT関連
2021-07-21 15:45
ラウンドアップ:IT業界で脱炭素の取り組みが拡大–各社動向を振り返り
IT関連
2022-08-17 04:43
リコーが統合型アクセラレータープログラム「TRIBUS 2021」成果発表、スタートアップ企業6社公開・社外から117件の応募
IT関連
2022-02-22 21:19
「Linux」でコマンドの実行にエイリアスを使うには–長いコマンドも1語で
IT関連
2023-08-04 12:53
名古屋グランパスエイト、LBBのモバイルオーダー基盤を導入–会員登録機能が追加
IT関連
2022-07-13 03:00