生成AIを顧客体験向上に活用–アドビのAI主導型マーケティング製品

今回は「生成AIを顧客体験向上に活用–アドビのAI主導型マーケティング製品」についてご紹介します。

関連ワード (AIが企業にもたらす変化、CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 「ChatGPT」などの生成AIツールがコミュニケーションと理解に変革をもたらすと考えている人は、生成AIがマーケティングチームや営業チームと手を取り合ったときに何が起きるかを知れば、もっと驚くはずだ。

 現在、企業が個々の顧客の独自のニーズに対応する能力が大幅に増大しているほか、ターゲット顧客を心理面や人口統計学的属性の面で正確に選定する能力が格段に向上しつつある。AIをマーケティングや営業に応用することで、「買い手はご用心」というフレーズが全く新しい意味を持つようになる。

 テキストプロンプトへの応答や、オンデマンドでの画像生成ができる汎用AIツールではなく、ChatGPTで見てきたのと同じ大規模言語モデル(LLM)アプローチを使用する特化型ツールが増え始めている。

 本記事では、Adobeによる生成AI主導型マーケティングの取り組みを紹介する。これは重要な取り組みだ。

 Adobeは、プロクリエイター向けツールのポートフォリオで最もよく知られている。「Adobe Photoshop」「Adobe Premiere Pro」「Adobe Acrobat」といった製品名は、ほとんどの人が聞いたことがあるだろう。しかしAdobeは、それほど知られていない別の分野、すなわち顧客体験管理においても市場をリードしている。

 顧客体験(CX)は、マーケティング用語の世界における最大のバズワードの1つだ。しかし、AIにしか好まれないようなフレーズの1つであるからといって、重要度が下がるわけではない。むしろ、顧客体験の管理は、現在の市場で成功を望むあらゆる企業にとって極めて重要だ。

 簡単に言うと、「顧客体験」とは、顧客が会社とのやりとりをどう受け止めるかということだ。「受け止める」がキーワードになる。顧客体験の受け止め方が良好であればあるほど、自社とブランドが顧客の心理に好ましい連想を生み出すことができる。体験の受け止め方が悪ければ悪いほど、その連想がより否定的なものになり、その会社ともう一度と関わりたいという気持ちが小さくなるだろう。

 顧客が会社とやりとりするとき、頭の中で多くのことを考えている。そのブランドが自分の生活にもたらす利点の地図を描き始める。この地図作成が行われるのは、商品を購入するときだけではない。やりとりを開始する前の心理ゲームも展開されている。すなわち、商品からどれだけの価値を引き出せるかを顧客が予測しているということだ。また、体験される利点というものがあり、これは顧客が実際にどれだけの価値や有用性を得たかを示す。そして重要なのが、後から振り返る利点だ。これは、体験に関する顧客の全体的な記憶(良いものも悪いものも)を意味する。

 顧客が事前に感じ取る利点を最大化する企業は、新たな機会をより多く獲得できる。実際の価値の利点を最大化する企業は、サポートコストを削減し、潜在的なリピート顧客を生み出せる。そして、購入後のやりとりを最大化する企業は、熱心な支持者を作り出して、口コミを生み出し、顧客をファンや熱狂的なサポーターに変えることができる。

 このように、購入前から購入時、購入後までのエンドツーエンドの体験から、顧客体験が構成される。ここまで説明したところで、Adobeの一連の発表に話を戻そう。

 では、予測と再現が可能な目標指向型の方法で、顧客をファンや熱狂的なサポーターに変えるには、どうすればいいのか。データを使う。それも、極めて膨大な量のデータ、ペタバイト規模のデータが必要だ。

 「Adobe Experience Cloud」プラットフォームエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのAnjul Bhambhri氏は次のように述べた。「現在の予測不可能な経済情勢において、消費者は日々購入する商品やサービスを見直すようになったため、ブランドの成長を推進する重要な要素は、顧客の現在のニーズを正確に理解していることを示す能力だ」

 顧客とのあらゆる潜在的な接点について考えてほしい。「Twitter」や「Pinterest」から「Facebook」のページ、グループ、各ユーザーのメインフィードまで、あらゆる形式のソーシャルメディアがある。メールとチャット、電話サポート、オフラインの実店舗への来店、オフラインイベントでの交流のほか、オンラインとオフラインを組み合わせた交流もある(見本市で催される交流など)。さらに、ウェブサイトやアプリでのアクション、購入、そして広告やインフルエンサーの動画、自社商品を取り上げた記事の閲覧も、すべて顧客との接点だ。

 こうした接点からの情報はすべて収集できるものだし、また収集しなければならない。顧客データプラットフォームの役割は、それらすべてのデータの流れを収集して管理し、サイロ化を防ぐことにある。それは極めて大きな作業だ。

 冬の間に寒い工場で作った製品が、春になって返品が急増した場合、その動きに気づいて、何が原因かを直観的に理解し、問題を解決できる必要がある。また、待望の映画の続編が間もなく公開というときには、その映画のスタイルを反映した商品を特定の店舗に仕入れるといいだろうし、その映画のジャンルのファンであることが分析によって判明した顧客に、その分析結果を伝えるのもいいだろう。

 それに役立つのが、「Adobe Real-Time Customer Data Platform」(Real-Time CDP)だ。Adobeによると、Real-Time CDPは現在、リアルタイムの顧客プロファイルに基づいて、年間6000億件以上の予測的洞察を提供しているという。

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