第2回:日本企業のERP導入を阻む3つのボトルネック
今回は「第2回:日本企業のERP導入を阻む3つのボトルネック」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載の第1回の記事では、統合基幹業務システム(ERP)の歴史をひも解きながら、最近注目されているコンポーザブルERPについてお伝えしました。今回は、少し角度を変えて、日本企業とERPという視点で、特に日本企業がERPを導入するに当たってボトルネックになることについて掘り下げてお伝えしていきたいと思います。
まず、ERPの本来の目的について振り返ってみたいと思います。
ERP登場以前、企業内の各システムは個別に開発されていました。そのため、多額の開発費がかかる上に、システム完成までの期間も非常にかかる状況でした。特に大手企業が利用する業務システムは範囲も広く複雑で各社各様なため、個別に開発する以外に方法がないと思われていました。
しかし、一見複雑で各社各様に見える業務機能も細かく分解していくと、実は共通項がたくさんあることに気付き、難易度は高いもののさまざまな会社で利用可能な汎用製品が作れるのではないかと考える人たちが出てきました。このような思想で開発されたのがERPです。
つまり、ERPの存在価値は、個別開発よりも圧倒的に安いコストで基幹システムを構築可能にし、IT投資効率を飛躍的に高めることができる点です。例えるなら、注文住宅しか選択肢がなかった世界に、建売住宅が登場したようなイメージでしょうか。
そして、ERPの登場により、多くの企業が同じERPソフトウェアを使うようになったことで、ベストプラクティスと言われるメリットがユーザーに享受されはじめました。
個別に開発されたシステムを使っていた時代には、各社の業務ノウハウやオペレーションノウハウは各社個別のシステムの中に閉じてしまい、他の会社に共有されることはありませんでした。しかし、みんなが同じERPを使うようになりこの状況が一変しました。
多くのユーザー企業の業務ノウハウが汎用製品であるERPに集約され機能化されるため、ユーザーはERPを使うことで、他社事例を含めた最良の業務プロセス、つまり、ベストプラクティスが得られる状態となったのです。
一方で、日本企業では、昔からERPの適用が難しいといわれています。例えば、前述したベストプラクティスはあくまで欧米企業にとってのベストプラクティスで、日本の法制度や商習慣には合わない、つまり日本企業にとってのベストプラクティスではない、といわれることもあります。この点をもう少しひも解いてみたいと思います。
まず、日本と諸外国では法制度や商習慣に違いがあるという点ですが、これは事実です。とはいえ、このような国ごとの差異は決して日本だけの問題ではなく、どこの国でも多かれ少なかれ生じます。これに対応するために、グローバルに展開されるERPは、国ごとの制度や商習慣にも対応可能な国別オプション機能を持っています。
そのため、法制度や商習慣が違うから適用できないというのは、少し強引な解釈です。ただ、日本には、諸外国と比べ、とても非合理的かつ特異な点が幾つかあります。
日本と諸外国では法制度や商習慣、文化や歴史的背景など、さまざまな差異がありますが、ERPを適用するという観点において根本を突き詰めていくと、日本ならではの3つのボトルネックに行き着きます。
ここからは、それら一つ一つを掘り下げてお伝えできればと思います。