HPEが事業方針を発表、「エッジからクラウドまで」の施策を強化
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日本ヒューレット・パッカード(HPE)は11月30日、2024事業年度(2024年11月期)の事業方針説明会を開催した。前年度(2023年11月期)はグローバル業績が過去最高を達成したとし、2024事業年度では、近年に掲げる「Edge-to-Cloud(エッジからクラウドまで)」戦略に基づく各種施策を強化、加速させるとしている。
説明を行った代表執行役員社長の望月弘一氏は、まず同社の2023年11月期の通期のグローバル業績を紹介。売上高は前年同期比5.5%増の291億ドル、非GAAPベース売上総利益率が35.3%となるなど過去最高を達成したとし、同社が新たなビジネスモデルとして確率するアズ・ア・サービスの「GreenLake」が好調だとした。GreenLakeは、2023年11月期の年間経常収益(ARR)が37%増、受注総額が23%増となり、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)やAI関連の受注がけん引したという。
続けて望月氏は、ITプラットフォームの動向として、(1)ITへの期待の変化、(2)一貫性あるクラウド体験、(3)急激なIoT/AIの浸透――を挙げた。(1)では、IT製品のコモディティー化が進む一方で、データ処理量の増大とそれに伴う電力消費の増大に対応する、環境面のニーズがあるとする。(2)では、継続的なデータ量の増加とそれらの半数以上がエッジで生成されることによる、オンプレミス/クラウド/エッジの一貫した運用性などが求められてくるという。(3)では、IoT化に伴うデータ生成の拡大とそれらデータも生かしたAIの活用が企業競争力を左右する状況の到来になるとした。
望月氏は、こうした動向に対応すべくHPEがネットワークや運用管理、サイバーセキュリティなどの有力企業も買収してきたとした。主な買収企業には、運用管理のOpsRamp、セキュリティのAxis、ローカル5GインフラのAthonet、AI関連のPachyderm、サーバーリソース管理のTidalScaleなどを挙げた。
同社では、成長機会が大きい市場としてエッジ、ハイブリッドクラウド、AIの3領域を設定。望月氏は、各種の市場調査を踏まえて、日本市場にはエッジで1.5倍、ハイブリッドクラウドで1.6、AIで2倍の成長性があるとした。
こうした背景を踏まえ2024事業年度は、日本において「Leading Edge-to-Cloud Company」を事業方針に据えると説明した。これは、HPEがベンダー/クラウドニュートラルな第三極の存在になり、クラウドのプラットフォームを提供し、顧客のビジネス変革と持続可能性に貢献していくメッセージだとする。この中核がGreenLakeだとした。
望月氏によれば、上記の3領域における需要は、エッジではインフラと分散環境の管理、接続性があり、ハイブリッドクラウドではマルチクラウド管理とランニングコストの削減、レジリエンシー(回復力)、AIではAIの導入フェーズによる違いがあるという。
3領域の需要に対するHPEの施策は、エッジではコンピューティングリソースの分散導入や過酷な稼働環境での運用管理、多機能実装、高性能と省電力性への対応になるとする。GreenLakeの「Private Cloud Business Edition」「Network as a Service」やエッジハードウェアの「HPE Edgeline」などを提供し、セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)も絡める。
ハイブリッドクラウドでは、可視性を担保したマルチクラウド統合運用管理のコンソールやAIOpsのソリューションを主軸として、GreenLakeの各種メニューにより、運用コスト最適化のためのアナリティクスやサステナビリティー(持続可能性)も取り入れたサービスに注力する。
AIでは、AI導入前の「Enterprise AI」、導入中の「AI at scale」、導入拡大の「経験と知見」の3つのフェーズを位置づけ、フェーズにより異なる顧客需要へ柔軟にアズ・ア・サービスで対応していくという。例えば、Enterprise AIフェーズでは、第11世代「ProLiant」サーバーや、ソフトウェアプラットフォームの「Ezmeral」などが中心となるという。
また、2024事業年度の事業戦略では、全社で同じ目標を目指すという「Journey to One」というスローガンが掲げ、戦略の柱に「Edge-to-Cloud Platform」「購買特性/サイクルに合わせたエンゲージメント強化」「パートナーリングの革新と拡大」を据えた。
Edge-to-Cloud Platformでは、オンプレミス時代からHPEが提供してきた価値を維持、強化しつつ、上述の同社がベンダー/クラウドニュートラルを担う第三極の存在として、各種サービスに提供を強化していく。購買特性/サイクルに合わせたエンゲージメント強化では、「ソリューションバイヤー」と「テクノロジーバイヤー」という2種類の購買特性を踏まえた営業組織体制を構築しており、これを継続的に強化するほか、各分野に精通したエキスパート人材の育成およびコミュニティー活動の活性により、多様な顧客へのソリューションや情報提供などに取り組む。
重要と位置づけるパートナーリングの革新と拡大では、さらに(1)パートナーリングの深耕と開拓、(2)プラットフォームの解放、(3)コミュニティーの進化を設定。新規パートナーの発掘や、GreenLakeとパートナーソリューションの連携などを推進していく。
望月氏は、このほかに多様性や平等性、包摂性(Diversity, Equity, and Inclusion:DE&I)の施策も推進していると説明した。
事業戦略説明会には、HPE顧客のゲストとして東京電力ホールディングス(TEPCO) 常務執行役 最高情報責任者(CIO) 最高情報セキュリティ責任者(CISO)の関知道氏も登壇し、同社のDX戦略と戦略を支えるプラットフォーム「TEPCO Data Hub」、その稼働インフラの「TEPcube」などについて取り組みを紹介した。
同社は、カーボンニュートラル実現などの課題に対し徹底的なデータ化、データを活用した価値創出、価値創出のためのビジネスモデルの実現をDXとして取り組む。関東を中心とする約2800万世帯の顧客基盤や電力インフラ、社員の経験やノウハウなどが重要なデータ資産となり、それを蓄積するのがTEPCO Data Hubになる。同社では、HPEのさまざまな支援を得ながら、Ezmeralのソフトウェアプラットフォームを活用してTEPCO Data Hubを構築。これが事業方針説明会の前日となる11月29日にカットオーバーしたばかりだという。
関氏は、TEPCO Data Hubなどを通じてデータから、業務プロセスというビジネス価値とステークホルダー(利害関係者)をつなぐコミュニケーション価値の2つがあると述べた。これらの価値のもと、同社が長年担う社会インフラとしてのビジネスモデル、さらにカーボンニュートラル実現などに向けて必須となるパートナーソリューションの新たなビジネスモデルにより、DXとして省エネ・コスト削減から、二酸化炭素排出削減、そして水素発電などゼロカーボンエネルギーの提供などをDXとして目指していく。
その中核となるTEPCO Data Hubでは、インフラ領域においてHPEがエンジニアを派遣して短期間での構築を実現したほか、オープンソースソフトウェアの活用では短期間かつ高いパフォーマンスを達成する状況の環境を実現したHPEの技術力を評価しているとした。