パイオニアが「モノ×コト」で切り開く「未来の移動体験」
今回は「パイオニアが「モノ×コト」で切り開く「未来の移動体験」」についてご紹介します。
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製造業の「モノ売り」から「コト売り」へのシフトが言われて久しい。その中で、パイオニアはモビリティー領域のさまざまな課題を「モノ×コト」で解決するソリューションカンパニーへの変革に取り組んでいる。
パイオニア モビリティサービスカンパニー(MSC)は、“パイオニアの未来を担う組織”として2019年10月1日に立ち上げられた社内カンパニーの一つである。オーディオ機器やカーナビゲーション(カーナビ)などを手掛けるメーカーとしての顔とは異なり、「コト(サービス)」の企画・開発を「モノ(製品)」 で培ったノウハウとかけ合わせ、企業ビジョン「未来の移動体験を創ります」の実現に向けて新たなビジネスモデルに挑戦している。
同社 常務執行役員 モビリティサービスカンパニーCEO(最高経営責任者) 兼 グループCISO(最高情報セキュリティ責任者)の細井智氏は、「製造業は単に製品を作り続けるだけでは企業の成長が停滞し、市場の変化に対応できなくなるという課題に直面している。そこで、製造業が持つ技術やノウハウなどのアセットを活用して、サービスを提供することが重要になってくる。これにより、顧客のニーズに応えるだけでなく、新たな収益源や競争力を創出することができる」と説明する。
その背景には、ユーザー行動の変化がある。「iPhone」の登場以来、製品とサービスの連携は当たり前となり、製造業が競争力を高めるために必須の条件となっている。ハードウェアとサービスの融合によって多様化するユーザーのニーズに応じていくとともに、ビジネスモデルも変革していかなくてはならない。
そうした同社の戦略の核となるのが「Piomatix」になる。これは、モビリティー領域のAIプラットフォームとして、同社が車載機器から収集した80億kmを超える走行履歴データや2億枚に及ぶ走行時の定点画像データ、エッジデバイスのセンサーデータなどと、ドライバーの状況を把握する「ワークロード推定エンジン」、目的地やルートなどを推定する「走行推定エンジン」、ドライバーの行動を推定する「インサイト推定エンジン」を組み合わせることで、ドライバーや走行の状況を把握し、適切なタイミングで必要な情報やナビゲーションを提供するもの。オープンプラットフォームにすることで、さまざまなパートナー企業と新しいサービスの創出を可能にしている。
Piomatixを活用したサービスの一つとして、パイオニアは「カロッツェリア」ブランドをはじめとしたカーエレクトロニクス商品開発で培ってきた知見を生かした、スマートフォン専用カーナビアプリ「COCCHi(コッチ)」のサービス提供を9月21日に開始している。
COCCHiは、同社が保有する高度なルーティング技術や走行履歴データを活用したナビゲーション機能をスマートフォンアプリとして提供するサービス。道路幅や車線数、信号の数や交差点の曲がりやすさなどを考慮したルート探索・案内をはじめとした高精度なナビゲーション機能と、運転中の困りごとやトラブルをサポートするドライバーアシスト機能を搭載している。
さらに、二酸化炭素(CO2)排出量やガソリン代金などを可視化することで、経済的なルート選択やエコドライブなど環境配慮を促す。
「われわれは、ハードウェアだけにこだわるのではなく、同じコアエンジンを生かしながら、幅広いユーザーに(パイオニアの)カーナビ体験を提供したいと考えている。COCCHiはその一例であり、今後もさらに進化させていきたい」(細井氏)