ホンダと伊藤忠商事、マイクロソフトの生成AIの導入事例を発表
今回は「ホンダと伊藤忠商事、マイクロソフトの生成AIの導入事例を発表」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
日本マイクロソフトは12月13日、大阪で開発者向けの年次カンファレンス「Microsoft Ignite Japan」を開催した。日本では4年ぶりにリアル会場とオンラインでの同時開催となり、リアル会場には600人の来場者で満員、オンラインでも8000人が参加した。本稿では、マイクロソフトの生成AIの早期ユーザー企業として登壇した本田技研工業(ホンダ)、伊藤忠商事の2社の事例をレポートする(本稿は後編、前編はこちら)。
事例講演に登壇したホンダ 執行職デジタル統括部長の河合泰郎氏は、同社のCIO(最高情報責任者)としての役割を担い、グローバルの情報戦略を立案する立場だ。
「いわゆるデジタル戦略は経営戦略であり、事業戦略を実現するための補完的立場で行っている。今までの例えば、BPR(ビジネスプロセス・リ・エンジニアリング)は、新しいビジネスモデルを作るためのプロセス改革と情報活用にフォーカスしていた。構造化情報、構造化データをどう効率的に使えるようにするのか、活用するのかに着目したが、生成AIは、その中で働いている人間そのものの、いわゆる非構造化情報をどう扱うかというところに切り込んでいくものと捉え、活用していこうと決めている」(河合氏)
さらに河合氏は、マイクロソフトの生成AIソリューションを早期導入した背景を次のように説明した。
「生成AIの登場の仕方はとても華々しかった。テクノロジーはすごく限られたところから出てくることが多いが、生成AIは、『誰でも使えますよ』ということで、いきなり(世界に)認識された。そのインパクトを考えると、仕事の中身や人間そのものにも大きな影響を与えるだろう。こんな話を経営層にして、私自身は『ワクワクする』と表現をしたが、経営層からは『ハラハラする』という声が上がった。出遅れると、『社として大きな痛手になる』『われわれ自身が変わる大きなチャンスだ。だからやろう!』と早期導入を決断した。今後適応スピードが加速していくだろう。いま走らなければ、逆にダメなのではないかと。経営層は、導入を早期決断しなければ、後れを取るという気持ちでハラハラするということだった」
ホンダは、決意を持って生成AIの早期導入に至ったようだ。さらに、現在は3つのレイヤーで生成AIの利用を考えているという。
1つ目は、これまで「Bing Chat Enterprise」の名称だった、商用データ保護機能を備えたウェブ用AIチャット「Copilot」の利用だ。2つ目は、「Copilot for Microsoft 365」の導入によりメールや「Office」「Teams」という日常的に業務で頻繁に利用するアプリケーションの利用を効率化すること。そして3つ目は、ホンダ内の知見を業務ごとあるいはプロセスごとにAI化していく取り組みを検討していることだという。API、マルチエージョント、マルチモーダルといった要素を実現し、より専門的で特化した使い方を想定している。
河合氏は、「Copilot for Microsoft 365で、いま一番よく使っているのはTeamsだ。仕事の効率が高まっているので本当にありがたい。例えば、ミーティング中に経緯を要約してくれる。さらに、ミーティングの最後には『議論はおおむね穏やかでした。この方は自己批判としてこんな発言をしました』といったことが要約されて返ってくる。この要約に対し、この人にはどういうフォローアップをした方がいいのかといった情緒的なケアにも活用できる。また、そのミーティングによる生産性向上、効果的な終わり方を考えるといった活用もできる点が気に入っている」とコメント。同社では、既にCopilot for Microsoft 365活用の効果が出ていることを明らかにした。
さらに河合氏は、自動車産業がグローバルで大きな変革期を迎えていることを踏まえ、より真剣に生成AIを取り入れ、企業変革を進めていく必要性を感じているとも話した。
「自動車産業は、100年に1度の変革期を迎えていると言われている。ホンダも75周年を迎え、第2創業期と考えて、この変革を乗り越えようとしている。つまり、現在は大きな変革のチャンスの時期でもある。生成AIを含め、われわれ自身の仕事が変わろうとしている。その時期を乗り越えるツールとして、マイクロソフトの幅広い製品群が、どうやって変革をもたらしてくれるのか」
河合氏によれば、これまでのマイクロソフトのアプローチは、「営業スタッフがいて、技術支援があってというスタイルだった」とのこと。情報提供してもらい、同社からの質問に対してマイクロソフトが回答するというやりとりが多かったそうだが、「今後はわれわれがより効果的、効率的な仕事ができるようなレベルとなっていくよう、ぜひ一緒にやっていきたいと考えている」とした。
「事業として日々の業務をしていく中で成果を出し、コミットしたものを達成することが必要になってくる。そこに、いかに寄り添ってもらえるか、いかに入り込んでサポートしてくれるのかというところに期待している」と、河合氏はマイクロソフトに対して、より踏み込んだ支援を期待した。