「最高AI責任者」は必要か–利用の広がりで求められるAI管理のあり方
今回は「「最高AI責任者」は必要か–利用の広がりで求められるAI管理のあり方」についてご紹介します。
関連ワード (AI、仕事、自動化の未来、CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
自動化や機械学習、生成人工知能(AI)などの新興テクノロジーによって、私たちが働く企業や担う役割が変わりつつある。
これらのテクノロジーが繰り返しの多い手作業や中間管理職の責任に大きな影響を与えることはすでに明白だが、AIと自動化は組織の上層部にとって何を意味するのだろうか。以前から社内のテクノロジーを監督しているのは、最高情報責任者(CIO)だ。ITの調達と導入に関しては、CIOがしっかりと手綱を握っている。
だが、OpenAIの「ChatGPT」や多数の類似テクノロジーの登場により、AIの使用がこの1年で急激に拡大した。
開発が急速なペースで進んでいるため、AIの展開を監督するのは誰にとっても困難だろう。すでに日々のIT運用を管理する責任を負っているCIOについては言うまでもない。
では、新興テクノロジーの急激な台頭を考えたとき、企業には「最高AI責任者」が必要なのだろうか。
Gartnerのディスティングイッシュトバイスプレジデント(VP)アナリストであるAvivah Litan氏は、一部の組織で最高AI責任者の任命がベストプラクティス手法になっていると述べ、次の例を挙げた。
「世界的な金融機関は、最高AIリスク責任者を最高財務責任者(CFO)や銀行の最高リスク責任者の直属としている」とLitan氏は米ZDNETに語った。しかし、すべての企業が銀行と同じリスクに直面するわけではない。また、多くの組織にはAI専門のオフィスを構える余裕がない、とLitan氏は述べた。
ほとんどの企業の場合、AIの初期のリスクと機会に対処する最善の方法は、全社から専門家を集める総体的なアプローチを作り出すことだ。
「そのためにタスクフォースがある」とLitan氏。「一般的に、ラインリスクをとる方がはるかに得策だ。明確な責任とタスクフォースがあった方がいい」。AIの導入と監督を成功させることは、企業のあらゆる部分に関わる複雑で難しい問題だ。
Litan氏によると、AIは新しい現象であるだけでなく、他のITアプリケーションと同じように扱えないものであるということを、すべての組織が認識すべきだという。
「全くの別物だ。われわれは、セキュリティの観点から見て新しいベクトルだと訴え続けてきた」。同氏はこのように語る。「古いコントロールを使用してリスクを管理することはできない。機会についても同じことが言える。古いビジネスプロセスでAIの機会を管理することはできない。根本的に異なるものだ」
自動車大手Holmanのエグゼクティブバイスプレジデント兼CIOのJarrod Phipps氏も、最高AI責任者が必要かどうかは企業の規模によって決まる可能性が高い、としている。しかしPhipps氏は、上層部にAIの責任者がいるのは多くの組織にとって良いことのはずだ、との考えを示した。
「悪影響はないと思う。というのも、今では全く新しいセキュリティパラダイムが確立されているからだ」。Phipps氏は米ZDNETとのインタビューでこのように述べた。GartnerのLitan氏と同様の見解だ。
Phipps氏が思い描く最高AI責任者とは、最高情報セキュリティ責任者(CISO)と戦略的データリーダーの中間のような存在だという。最高AI責任者は、必要以上のリスクを冒さずに好機を確実にものにしなければならない。
「当社の今後の取り組みには、セキュリティとデータプライバシーの要素が含まれるが、劇的な体験という要素もある。この2つのバランスを常に保たなければならない」とPhipps氏。「困難なトレードオフを迫られることになる。困難なトレードオフに直面したときは常に、トレードオフの実行方法に一貫性を持たせることが非常に重要だ」