シスコ自身の変革を通じ社会や顧客の変革と価値に貢献–濱田新社長が所信表明
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2024年1月1日付でシスコシステムズの代表執行役員社長に就任した濱田義之氏は同24日、記者会見を開き、所信表明と事業方針を明らかにした。同氏は、「シスコシステムズの変革を通じて社会やお客さまの変革、価値に貢献したい」と述べたほか、国内では特にサイバーセキュリティ、サステナビリティー(持続可能性)、AIの3つに注力する方針を掲げた。
濱田氏は、複数の国内通信系企業を経て、2016年に執行役員 最高技術責任者としてシスコシステムズに入社。IoTやサイバーセキュリティ、情報通信などのビジネスで要職を歴任し、2022年8月からは米Cisco Systems アジアパシフィックジャパンアンドチャイナ マネージングディレクター セキュリティ事業担当を務めていた。
同氏は、直近でグローバルビジネスを担当したことから、「世界から日本を見る良い機会でもあった。シスコジャパンは日本のお客さまやパートナーとの密接な関係を築いていると感じる一方、世界と日本の差異も感じることができ、こうした経験などをこれからのシスコジャパンで生かして取り組みたい」とあいさつした。
また、Cisco Systemsがグローバルで掲げるパーパス(存在意義・目標)の「すべての人にインクルーシブな未来を実現する」に触れ、同社はこれをデジタル、バリューチェーン全体で推進し、ESG(環境・社会・統制)にも取り組んでいると強調した。
事業戦略の方針では、グローバルでは「セキュリティ」「ハイブリッドワーク」「オブザーバビリティ」「サステナビリティー」「ハイブリッドクラウド」「AI」の6つを重点領域に位置付け、「すべてをセキュアにつなぐ」を掲げる。濱田氏は、同社がこれらの領域で顧客のビジネスに貢献するプラットフォームを提供することにより簡素化を図り、複雑化するIT環境がもたらす諸課題を解決していくなどとした。
こうした目標に向けては、同社自身の変革も重要だと濱田氏。従来のネットワーク装置などハードウェア販売主体のビジネスモデルからソフトウェアやサービスによるサブスクリプション型中心のビジネスモデルへの変革を推進し、顧客への継続的な価値提供を目指しているとする。同社の総売り上げに占めるサブスクリプション収益の割合は、2022年が43%で、2025年に50%に引き上げる目標を示すほか、ソフトウェア売り上げに占めるサブスクリプション収益の割合についても、2022年時点での81%を2025年には85%に引き上げる計画を掲げている。
日本市場での事業方針について濱田氏は、「入社当時から抱いている、テクノロジーを通じて社会への価値を創造していくという想いは変わっていない」と述べつつ、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2023年11月に発表した「世界デジタル競争力ランキング」で日本の順位が前年の29位から32位に低下したことに触れ、教育や働き方改革などでデジタルの取り組みが向上しながらも、世界に対して日本がチャレンジしていくさまざまな領域で同社ならではの貢献を目指すとした。
特に日本では「セキュリティ」「サステナビリティー」「AI」の3つを重点領域に位置付ける。AIでは、企業や組織、社会での活用推進を支えるAI基盤の実現にネットワークやコンピューティングなどの面からの貢献に取り組むほか、サステナビリティーでも二酸化炭素の排出削減、同社が開発を進める「Silicon One」チップによりエネルギー消費の削減など「グリーントランスフォーメーション」(GX)などを同時に推進していきたいなどと語った。
サイバーセキュリティは、グローバルと日本の重点領域であり、事業方針で掲げる「すべてをセキュアにつなぐ」からもとりわけ優先度の高いテーマに映る。
これについて濱田氏は、「(直近まで)サイバーセキュリティ事業を担当していたからというわけではないが、DXやデジタルビジネスが加速する中でセキュリティが非常に複雑化しており、それが足かせになる恐れがある。海外のお客さまとの会話では、導入しているセキュリティ製品やベンダーがあまりに多く、減らしたいという。われわれはプラットフォームのアプローチでセキュリティをシンプルにしていく。日本では部分的な取り組みのためにセキュリティ全体としては不十分なままのところも多く、そうした状態を解決しながらDXを推進する必要がある」と語った。
このほかにも濱田氏は、シスコシステムズのさまざまな社員が互いに信頼し合い、互いの多様な価値観を認め合いながら相乗効果を発揮して価値を創造していける企業文化の醸成を目指したいなどと抱負を述べた。